そもそも「大麻」とは何か?日本がいま考えるべき「マジメな使い方」

世界における乱用の実態と規制の現状
原田 隆之 プロフィール

大麻の医療的使用

先に、大麻製剤について少し触れたが、大麻は害だけでなく、確かな益もある。

例えば、大麻製剤は、末期がんの疼痛などを抑制する作用がある。また、難病である多発性硬化症やクローン病、HIV感染症などへのさまざまな効果も報告されている。

大麻製剤の1つ「サティベックス」は、大塚製薬がアメリカでの独占的販売権を有しているが、日本では販売されていない。日本では医療目的であっても大麻の使用が許されていないからだ。

モルヒネも同じような規制薬物であるが、こちらは日本でもがんの疼痛の緩和などに用いられている。

サティベックスは、モルヒネでは効果が得られないタイプのがん性疼痛に効果を発揮し、口腔内にスプレーするだけで投与できるという簡便さも優れている。

日本人が麻薬に対して厳しい態度を持っていることは、世界に誇るべきものだと述べたが、あまりにヒステリックに反応するばかりでは弊害も出てくる。

「大麻」と聞いただけで思考停止に陥り、「ダメ、絶対!」という頑なな態度を貫き通せば、苦しむ人を救うことができなくなってしまう。

がん性疼痛のような「痛み」は、人間の尊厳までも破壊してしまうものである。末期がんの人が、人間らしく生を全うするために大麻製剤が救いとなるのであれば、それは遊び目的の大麻使用とは分けて考えるべきである。

 

医療大麻解禁運動

この意味で、私はかつて「医療大麻解禁」を訴えて、参議院選挙に立候補し、その後大麻使用で逮捕された元女優の高樹沙耶は、本当に罪が大きいと思う。

ただでさえ大麻というだけで、たとえそれが医療目的であっても、色眼鏡で見られるのが日本社会である。

真面目に医療目的での大麻の使用に向けて取り組んでいる人がいる一方で、彼女のように「不真面目に」取り組んでいる者がいれば、どちらも同類だと見なされてしまう。本当に迷惑この上ない話である。

しかも、彼女は選挙に出たり、テレビに出たりしている著名人であるから、なおさらその影響力が大きいことは自覚していたはずだ。

年末に彼女はあるテレビ番組に出演し、事件の釈明をしていたが、「歯が痛くて使ってしまった。医療大麻の効果を知っていたので、つい使ってしまった」と自己弁護と言い訳に終始し、上に述べたような自分の犯した過ちの本質をまったく理解していないことに本当に呆れてしまった。

それに、言うまでもないことだが、歯が痛くて大麻を使うのは医療目的ではない。単なる遊び目的の使用と同じだ。こんなことをしていると、「医療大麻」を錦の御旗か隠れ蓑にして、遊び目的の「大麻解禁」を目論んでいたと勘繰られても仕方ない。

関連記事