そもそも「大麻」とは何か?日本がいま考えるべき「マジメな使い方」

世界における乱用の実態と規制の現状
原田 隆之 プロフィール

大麻はなぜいけないのか

大麻はなぜ規制されているのだろうか。

それは、大麻の依存性や毒性ゆえである。特に、最近の大麻は「品種改良」によって、THCの含有量が増えているものがあり、危険性が高まっている。 

大麻に関しては、「タバコよりも害が少ない」という誤解もまた広まっているが、そもそも、タバコ自体が害の大きな依存性薬物であるので、タバコと比べること自体がナンセンスである。

さらに、作用も害も異なるものを比べて、害が大きい小さいと言っても意味がない。ミカンとリンゴとどちらが美味しいかという比較に意味がないのと同じである。

大麻の害について、世界保健機関(WHO)は、急性の害と慢性の害に分けてまとめて報告している。急性の害としては、認知機能の障害(学習、記憶など)、精神運動機能の障害(動作の調整、注意力など)が挙げられている。

慢性の害としては、これら認知機能の永続的で深刻な障害、依存症、精神病の悪化、呼吸器の疾患、胎児への害、発がん性などがある。さらに、生殖機能の障害や精神病的症状の発現などを指摘する研究もある。

大麻には害があるだけではなく、依存性もあるため、必然的に反復しての長期間の使用となる。そのために、急性の害だけでは終わらず、遅かれ早かれ慢性の害に発展してしまう。

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アメリカ「大麻生涯経験率」は4割超

大麻は、世界中で最も多く乱用されている薬物である。国連薬物・犯罪事務所(UNODC)によれば、世界中で1億5千万人の大麻使用者がおり、世界人口の2.5%に当たる。

これは、コカインやヘロインなど、いわゆるハードドラッグ使用者の10倍を超えている。

アメリカの統計では、大麻合法化前ですら400万人近い人が、ほぼ毎日大麻を使用していると回答しており、生涯経験率は4割を超えている。

つまり、日本の全人口とほぼ同数だ。オバマ前大統領も大麻使用歴を告白していた。大麻合法化に伴って、アメリカの大麻使用者は、今後一層増加するだろう。

 

一方、日本は世界でもめずらしく大麻使用者が少ない国であり、大麻と覚醒剤合わせても、生涯経験者は300万人ほどである。逮捕者については、覚醒剤が毎年1万5千人ほどであるのに対し、大麻は3千人弱である。

かつて、私はこれを国際学会で発表したとき、会場から「信じられない。嘘をついているか、統計がおかしいかのどちらかだ」と言われたことがある。しかし、何と言われようと日本のこの状況は世界に誇るべきものである。

そして、日本がいかにして、薬物乱用の抑制に成功しているか、世界は日本から学ぶべきである。

大麻依存症に対しては、今のところ認知行動療法と呼ばれる心理療法に一番効果がある。

これは、アルコールや覚醒剤、タバコなど他の薬物依存症だけでなく、ギャンブルやインターネット依存、性的依存など行動的な依存症の治療にも用いられている。

(覚醒剤依存症の治療については「薬物依存症治療のプロは清原和博のいまをこう見ている」、性的依存症の治療については「科学の力で痴漢をなくす、驚きの方法」を参照)