大麻は世界でどう規制されているか
このように、われわれ日本人の歴史や文化と古いつながりのある大麻であるが、現在は「大麻取締法」で厳しく規制されている。
また、国連の「麻薬単一条約」によっても規制薬物とされている。この条約は、世界185ヵ国で批准されており、国連加盟国のほぼすべてが批准していることになる。
なぜ「単一条約」という名称かというと、それまで各国が個別に結んでいた麻薬関係の条約を総括し、一本にまとめたものだからである。
この条約が規制するのは、あへん、コカイン、大麻などの主として「植物由来」の古典的な薬物である。
一方、覚醒剤やLSDなどの化学的な合成薬物は、「向精神薬条約」によって規制されている。こちらも、ほとんどすべての国連加盟国が批准しており、これらをまとめて「国連薬物2条約」という。
つい最近まで、国連条約に則り、大麻は世界中のほぼすべての国で違法薬物であった。
しかし、南米ウルグアイが2013年に世界で初めて、大麻を合法化した。これは、「世界で一番貧しい大統領」として、日本でも有名になったムヒカ前大統領の政策である。
彼は、大麻を合法化することで、ブラックマーケットを解体し、犯罪組織の弱体化を狙ったのである。

これに次いで、アメリカのいくつかの州も、大麻の合法化に踏み切った。今のところ、大麻が合法化されているのは、この2国のみである。
日本では、オランダが古くから大麻を「合法化」しているとの誤解が広まっているが、オランダでは、昔も今も大麻は違法薬物である。
あくまでも法律上では違法であり、「合法化」はしていない。合法化すると国連条約違反だからである。
しかし、オランダを始めヨーロッパ諸国では、薬物使用の「非刑罰化」「非犯罪化」が進んでいる。つまり、違法ではあるが、取締りをしない、刑罰を与えないというケースがあるということである。
一方、密造や密売はどの国でも重罪である。