中国の「地方」を歩き回る70歳が気づいた、日中の決定的な落差

「食」「トイレ」「鉄道」でわかる
青山 潤三 プロフィール

「中国版新幹線」の現在

初めて中国で新幹線に乗ったのは、ついこの間のことのように思っていたのですが、いつの間にか中国全土が新幹線だらけになってしまいました。見た目は日本の新幹線とよく似ていますが、在来線のレールを利用して走るものもあります。

この中国の新幹線、筆者には接続がさっぱりわからず、実に不便に感じます。運営が複数の公社に分かれているのでしょう。地方では駅に路線図がなかったり、現地で購入した地図に、新幹線の駅や路線が載っていないこともしばしばです。

紹関-広州を結ぶ新幹線

中国の大都市(省都やそれに準ずる街)には、たいてい3つのターミナル駅があります。昔から使われている在来線の駅に加えて、新幹線の停まる駅が新たに作られるのです。そして、これらの駅は決まってそれぞれが遠く離れており、非常に不便です。

例えば桂林(広西壮族自治区、ただし省都ではない)。以前は桂林駅だけだったのが、在来線の桂林北駅がリニューアルされ、新幹線の停車駅に変わりました。桂林駅は都心から歩いても30分ほどですが、桂林北駅は路線バスで30分以上かかります。

さらに、その次は新たに桂林西駅ができました。この駅はもっと遠くて、都心から路線バスで1時間半ほど。

桂林北駅と…
桂林西駅

例えば桂林から広州や深圳に行こうとすると、これら3つの新幹線駅のうち、どの駅に目的の列車が着くのか、またどの路線を経由して来るのかがほとんどランダムで、ややこしいし時間を取られることこの上ありません。

とはいえ、5年ほど前まで在来線しか走っていなかったころは、桂林-深圳間は寝台列車で14時間ほどかかっていたのが、いまは3時間ほどで行けるようになったので、はるかに速くなったことは確かです。運賃も、寝台列車よりむしろ値下がりし、広州まで2000円あまり、深圳までは約3000円になりました。

もうひとつ、中国の交通網で近年急速に発展しているのが、地下鉄です。

例えば、深圳の地下鉄は2004年に最初の路線が開通したのですが(この時、たまたま筆者は開通直後に地下鉄を利用し、最初の乗客の1人となりました)、それから15年足らずで8路線199駅になり、まもなく11路線に増えるそうです。東京の地下鉄は現在13路線285駅とのことなので、10路線ある香港側の地下鉄と合わせれば、東京を上回るほどのネットワークができていると言えるでしょう。

しかし、特に私のような「外国人」にとっては、切符を購入するのがこれまた大変なのです。

深圳の地下鉄の券売機では、以前は5元札以外のお札が使えず、両替所でいちいち硬貨に替えねばなりませんでした。それが最近は、逆にお札しか使えない駅があったりして、せっかく小銭を用意しても切符が購入できないことがあります。

中国のお札はたいていボロボロで、まず券売機にすんなり入りません。現地の住民もあまり事情は変わらないようで、いつも券売機の前には長蛇の列ができています。ICカードを購入して改札を通ろうとすると、それはそれで日本のようにはスムーズに機能せず、止められることもしばしば。

日本と比較すると、公共交通機関の運営に関しては、まだまだ中国は子供のような状態というほかないでしょう。