中国の「地方」を歩き回る70歳が気づいた、日中の決定的な落差

「食」「トイレ」「鉄道」でわかる
青山 潤三 プロフィール

子供にハンバーガーを奪われた

前回書いた通り、筆者は日本にいる時だけでなく、中国をはじめ外国でも(標高5000m近い高山の断崖絶壁や、南国のジャングルの中を彷徨っているとき、またはホテルや宿舎にいるとき以外は)、たいてい無料のwi-fiが使えるスターバックスコーヒーでパソコンに向かっています。

このスタバについては、例によってトイレが汚いことを別にすれば、日本よりも中国に軍配を上げたくなります。というのも、日本よりメニューが豊富で、特にサラダが充実しているのです。

日本ではあまり見かけない、様々な種類のクロワッサンもあります。もっともこれは中国だけでなく、東南アジア各国やアメリカでも同様です。どうして日本のスタバだけが、甘いもの中心のメニューになっているのでしょうか?

中国の地方都市には、それぞれの街に異なる「マクドナルド」の偽物があります。例えば広東省北部の翁源の町で見つけたのが、マクドナルドとケンタッキーフライドチキン(KFC)を合体させた「MFC」。入ってみたところ、味もサービスも本家とそっくりで、パクリとはいえなかなかのクオリティでした。

「MFC」の店内。結構おいしい。偽「カーネルおじさん」の看板もある(筆者撮影)

ただし、中国には本物のマクドナルドやKFCも進出して久しいですが、こうしたファストフード店でハンバーガーセットをひとつ頼むと、屋台の焼きそばを5~6回は食べられる金額を取られます。

ならばこうした店の客層は富裕層なのかというと、そうでもなさそうで、見たところごく普通の市民という感じです。中国人の経済力が底上げされてきていることの証でしょうか。

筆者は、このような「中国マクドナルド」で、みじめな思いをしたことが二度あります。

一度目は、桂林のマクドナルド(本物のです)。昼食をとりながら友人と話をしていた時、通りかかった小学生くらいの男の子(家族連れで、比較的富裕そうな身なりをしていました)が、何食わぬ顔で、卓上に置いていたハンバーガーをヒョイとつまんで、食べようとしたのです。さすがに奪い返しましたが、その子も両親も何事もなかったように去っていきました。

 

二度目は雲南省の香格里拉(シャングリラ)にあるファストフード店。昼食をとりながらパソコンに向かって原稿を書いていたところ、やはり小学生くらいの男の子が横を通りかかりました。

するとその子は横で立ち止まり、筆者の足元を凝視しています。そして、しばらくの間思案していたかと思うと、おもむろに買ったばかりのパンと牛乳を「あげる」と差し出してきたのです。

筆者は普段、裸足にサンダル履きで5000m級の山も熱帯のジャングルも歩き回っています(真似はしないでください)。持病の痛風があり、靴を履くと足を痛めるという事情もありますが、お金をかけずに済む、というのも大きな理由です。いざというときは地下足袋に履き替えます。

しかし中国では、常に「足元」を見られます。どうやら多くの中国人は、履いている靴でその人の懐事情を判断するようなのです(実際、筆者にはお金はないのですが)。そういえば、ファッションには全く興味のない中国人のアシスタントMでさえ、靴にだけは異様なまでのこだわりを持っています。

ちなみに、かつて筆者が自然博物館の設立に協力したミャンマーでは、サンダル履きが正装です。シャングリラとミャンマー国境はわずか100kmほどしか離れていませんが、国境を超えた途端に価値観が180度変わることを、身をもって体験しました。