『池の水ぜんぶ抜く』プロデューサーが語る番組づくりの極意

「失敗上等です」
週刊現代 プロフィール

見られないものを見せる

タイトルを『緊急SOS!危険生物から日本を守れ!』に変更して、「池の水ぜんぶ抜く」はサブタイトルに小さく入れることにしたんです。

あくまで、困っている住民を助ける感じを強調することで、なんとか企画が通りました。頭のなかには、水を抜くことしかなかったんですけど(笑)。

最初のロケのとき、幅広い年齢層の方々が見物にきてくれたのが印象的でしたね。まず午前中にはご年配の方がたくさん集まってくれました。「どこテレビだ?」と話しかけてくれたり、昔、この池でパンツ一丁になって泳いでいたころの話をしてくれたり。

また話が長いんですよ(笑)。午後には下校中の子供や親たちが、「がんばれ~」と声援を送ってくれる。

池の底という怖いもの見たさに老若男女が集まってくれたのを見て、熱気があった時代のテレビっぽい雰囲気だなと思いましたね。

 

この番組は、視聴者にとってのエンターテインメントを提供できたからこそ、成功したんじゃないかと思うんです。そもそもエンタメは、ふだん見られないものや、非日常感があるからこそ成り立つもの。池の底がまさにそれだったのでしょう。

みんながテレビを食い入るように見ていたのは、現実世界より面白いものを提供してきたからですよね。でも、最近のテレビって、どっかで見たような安心感とも言うんでしょうか、手堅く数字が取れるような、無難な番組ばかりになってしまった。

バラエティの黎明期ならまだしも、すでに面白いものを知っている視聴者が多くいる時代、そこそこの面白さの番組は通用しなくなっています。

でもみんな頭ではわかっているはずなのに、チャレンジしない。それはやっぱり失敗が怖いからだと思うんです。だから過去の成功体験にしがみついてしまうし、前例がないものは排除してしまう。

もちろん失敗すれば、冷ややかな目で見られますが、それを怖れているようではテレビの未来はないと思います。

この番組だって、失敗する可能性があったわけです。池の水を抜くだけの2時間番組なんて、誰も企画として成立するとは考えていなかった。