ヤンキースが再び「悪の帝国」に戻ったことに喜ぶ人々

これぞメジャーリーグだ!
杉浦 大介 プロフィール

お帰りヤンキース!

(グレゴリアスは攻守両面の要の役割を果たせるか Photo By Gemini Keez)

ただ、そんな要素を考慮した上でも、2018年のヤンキースが誰も無視できないチームになったことは明白だ。空回りするリスクはあっても、昨季に合計144本塁打を放ったスタントン、ジャッジ、ゲイリー・サンチェスの打席は必見。

グレッグ・バード、ディディ・グレゴリアスも含め、どこからでも1発が飛び出すラインアップを観たくないスポーツファンは存在しないだろう。チャップマン、セベリーノの豪速球、田中のスプリッター、さらには新監督に就任したアーロン・ブーンまで含め、見どころは他にも数多い。

 

特筆すべきは、今季のヤンキースは過去のように散財せずに現在のロースターを作り上げたことだ。ブライアン・キャッシュマンGM以下の賢明な政策のおかげで、年俸総額は贅沢税が課される1億9700万ドル以内に抑えることができそう。だとすれば、将来的にもよりフレキシブルなチーム作りが可能になる。

(昨季、マーリンズで59本塁打を放ったスタントンはNYの新たな呼び物になる Photo By Gemini Keez)

しかし、例えそうだとしても、ベースボールファンは過去数年のようにもうヤンキースを“アンダードッグ”とみなしはしないだろう。資金力にものを言わせ、昨季のMVP選手を“強奪”した大都市チームと考えるはずだ。冒頭のサバシアのコメントには、そんな思いが込められていたのだ。
 
かつて、ヤンキースは強かった。それだけではなく、“悪役”の呼称が似合うチームでもあった。デレック・ジーター、マリアーノ・リベラ、アンディ・ペティートといった生え抜きの主力を軸に据え、毎年のようにジェイソン・ジアンビ、ゲイリー・シェフィールド、アレックス・ロドリゲスのような外様スターをFAやトレードで獲得。少々強引なチーム作りを続け、優勝争いに絡み、他チームのファンの神経を逆なでしていったのだった。
 
時は流れ、2018年――。しばらくは“普通の大都市チーム”だったヤンキースが、短いリビルド(再建期間)を終え、嫌われるスター軍団に戻ったことを喜びたい。ハリウッド映画はヒールが強い方が面白い。この方がメジャーリーグは確実に盛り上がる。多くのベースボールファンも、表向きの嫌悪の言葉とは裏腹に、ヤンキースがダース・ベイダーのような存在に戻ったことを心底では喜んでいるに違いないのである。