オランダで担任教師とのトラブルが起こったら

前述のようにオランダにも「1クラス1担任」は存在するが、そういったクラスで何らかのトラブルが起こったとしても、生徒や保護者のセーフティーネットは存在する。オランダ政府がすべての小学校に対して「苦情委員会」(Klachtencommissie)の内部設置や苦情を受け付けるシステムの設置を義務付けているので、生徒や保護者はそこに陳情することができる。

そして4週間以内に何らかの対応をすることも義務づけられている。残念ながらオランダにも問題のある教師は存在するが、こういったシステムで子供を守ることができるのだ。

ここで、オランダのとある小学校で起こった事件をご紹介したい。状況は、先ほどの日本の小学校で起こったことと酷似している。初等教育5年生(8歳程度の子供が在籍する学年)の男子生徒が、その学年の受け持ちになった女性の担任教師に目をつけられるようになったのだ。

男子生徒が、授業中に与えられたプリントの解き方が分からず質問するも、教師は真面目に取り合わないという。彼は無力感を覚えながら授業をやり過ごす羽目に何度も陥った。男子生徒の訴えを聞き両親が教師に面談を申し込むも、何度も約束を反故にされた。そして前期の成績表にもネガティブなコメントばかり書いてきたことで、ついに両親は校長先生に相談をしたのだという。

校長から担任教師への聞き取りの際も、男子生徒の素行の悪さをでっちあげ、なかなか両親の思うようには進まなかったという。けれどその学年の後期は、男子生徒は同じ学年の別のクラスに移動できることになった。

そして両親の訴えは地元の教育委員会まで届き、教師に対する調査が行われ、その教師は別の小学校へ異動させられることになったという。

教師によるいじめをうけた少年の傷は決して浅くはないだろうが、当の教師が自分の通う小学校からいなくなることで、少なくとも傷口に塩を塗り込むような事態は避けられるのではないだろうか。彼の残りの小学校生活がより良いものになるよう、願ってやまない。

教師との相性で傷ついた子どものケアをするために、オランダの学校では4週間以内に対応しなくてはならない。photo by iStock

そしてオランダは学区の制限がないため、学校のトラブル対応に不満を抱いた場合は早々と見切りをつけて別の小学校に転校してしまうこともあるという。引っ越さなくても新しい小学校に通うことができるのも、オランダのシステムの強みだ。

日本の小学校での実例でもオランダのこの例でも教師が成績表に悪いコメントを書いたので、少し成績表のことにも触れてみたいと思う。

実はオランダには2種類の「成績表」がある。学校の担任(および体育などの専科教師)がつける成績表と、年2回実施される全国共通テストの結果による成績表だ。中学進学にはそのどちらも必要となってくるのだ。ただ非常に複雑なシステムなので、成績表や中学進学に関してはまた改めて別の機会にじっくり書いていきたい。