オランダの教師の約4割はパートタイム勤務

オランダの場合も、決して「複数担任制」の採用が規則という訳ではない。前述のようにワークシェアリングが推進されはじめた1980年代からパートタイムの教師が導入されたことが直接のきっかけだった。

自分の都合の良い曜日に働けるという柔軟性のある勤務形態のため、現在ではパートタイムも含めて13万人の小学校(初等教育)教師が存在するという。

けれど教育関係シンクタンク「Stamos」の2016年データによると、フルタイムの教師は58%にとどまり、残りの42%はパートタイム教師なのだという。

政府の予測では2020年までに4000人の教師が不足すると考えられているので、年齢制限などの条件を満たせば学生は教員養成のための奨学金も得られる

「週5日フルで働けない教師が多いので複数担任になる」という側面があるが、かつての筆者の娘のクラスの教師のように「週5日出勤するが2つのクラスを担任する」という例もある。そして改めて娘の学校の担任表を調べると、8学年全16クラスのうち、「1クラス1担任」だったのは4クラスだけだった。

ちなみに、教育文化科学省の調査によると、オランダの初等教育の1クラス平均人数は23.3人だという。一方の日本は、OECDのデータによると2015年は小学校1クラス当たりの平均人数は27.3人となっている。単純計算でも、日本の小学校教師はオランダより生徒4人分の負担がより多くのしかかっているということになる。

複数担任制のいいことあれこれ

勤務日などに関して教師にもメリットのある複数担任制であるが、肝心の生徒や保護者のほうにはどんな影響があるのだろう。ここで、筆者が実際に見聞きした複数担任制のメリットを書いていきたい。

まず筆者自身の体験としては、最初に編入した初等教育4年生(7歳頃の子供が在籍する)のA先生、B先生との面談にインパクトを覚えた。通常オランダの小学校では学年のはじめ、前期末、学年末の3回保護者との面談を行う。途中編入だったこともあり4年生の面談は学年末の1回のみであったが、A先生とB先生の両名が同時に立ち会う面談は、両先生が共同でつけてくれた成績表をもとに行われた。

筆者としては初の成績表・面談ということで緊張したが、外国人である娘の評価がひとりの教師の意見のみでなされなかったということに強く安どした。(ただし面談日が勤務日にあたらない場合、面談に立ち会うのは片方の担任教師のみということもある)

学年初めの保護者会の様子。前に立つ教師以外に、もう一人の担任も右に控えている。写真/倉田直子

そしてこれは後に知ったことなのだが、当人である娘はこの4年生の時のA先生が少し苦手だったのだという。保護者である筆者から見ると両名とも親身な素晴らしい先生だったが、これもやはり相性なのかもしれない。けれどA先生は週の前半のみの担任であったので、娘は学校が嫌いにならずに済んだ。

クラスメイトのオランダ人保護者に複数担任制に関する意見を聞いてみると、「いいと思う。実は私は、5年生の時の担任のC先生の指導力に少し疑問を持っていた。けれど他の日にベテランのD先生が担任でいたからバランスが取れていたと思う」と述べた。(ちなみにこの保護者は、前回の記事で登場した飛び級した生徒の母親である)

そして指導力とは関係ないが、この5年生のC先生は学年の途中から産休に入った。そんな時も元からいるD先生は変わらず担任のままなので、生徒たちにとって「がらっと環境が変わる」「先生との関係を一から築きなおす」という負担は最小限で済んだ。