「仮想通貨天国」日本、実は穴だらけだった

コインチェック事件で分かった
宿輪 純一 プロフィール

「虚擬通貨天国」日本

仮想通貨はフィンテック(ITを使った金融技術革新)の一部とみられていることがあるせいか、そもそも規制が甘かった。それでも、中国では禁止、ロシア・韓国でも規制、仏独はG20で規制を掛けるなど、世界的に規制強化に向かっている。

特に中国では仮想通貨は禁止され取引所は強制的に閉鎖された。ブロックチェーンを支えるマイナー(採掘者)までも閉鎖される。

日本では、昨年4月に改正資金決済法が施行され、ビットコインなどの仮想通貨は単なる「財産的価値」とされた。通貨(法的通用性のある貨幣)でもなく、貨幣(一般的なおカネ)でもなく、金融商品でもなく、「モノ」という扱いである。

仮想通貨の取引も、モノの取引として認可したということであり、金融取引のような厳格さがなくても違法性はない。金融商品の場合には、特に一般の投資家、消費者は「金融商品取引法」で保護されるが、モノの取引であればそれはない。

仮想通貨交換業者(仮想通貨取引所)は登録制とされ、この取引所に規制が入ることになった。免許制ではなく登録制としたことは、金融庁としても、モノは所管ではないとも考えているのかもしれない。

本当にモノならば、経済産業省の所管となる。例えば商品(先物)取引所は経済産業省の所管となる。このあたりに齟齬があるならば、今後、横断的金融行政としての対応を期待したい。

 

他国の動きと比べると、まだ規制が緩いことは否めず、日本は仮想通貨天国といっていい。中国では仮想通貨を虚擬通貨と呼んでいる。中国から見れば、さしずめ日本は「虚擬通貨天国」というわけだ。

かつて筆者は銀行で、経営企画部門に加え、金融市場部門、決済をはじめとした金融インフラを業務として担当してきた。実は、金融の世界では、この実際の経験が非常に大事なのである。

この「金融」の基本は経験者以外には分かりにくい部分がある。そのため、たとえば最も大事な、一般消費者(投資家)の保護のため、プロとアマチュアとに分けるなどの常識が金融の世界にはある。当然、アマチュアを保護しなければならない。

この金融の基本や、お客様に対する考え方は、実際に金融市場や金融の現場に対応していて初めて分かるものである。

その点、最近のブロックチェーンや仮想通貨の議論は、そのような民間の金融の現場(つまり、お客様)を知らない方々が、机上で推進している感がある。

たとえば、大きい誤解は、ブロックチェーンの特徴は分散化にあるが、金融機関では、このような金融の特質から、分散化には向かわず、逆に集中化させてクラウド化させているのが本流の動きである。ブロックチェーン技術は、今後も使う予定は見えない。