『北の国から』倉本聰さんがベストセラー『未来の年表』を読んだら

こりゃあおったまげた!
週刊現代 プロフィール

人が少ないから広いぞ

倉本 僕は、さらにさかのぼって明治維新以降の日本の成長パターンが日本人の中におかしな形でインプットされ、そこから抜け出せないんじゃないかと思う。もともと日本はちっぽけな島国なんだもの。小国としてやっていくほうが幸せなんです。

河合 私もそう思います。江戸時代は3500万人くらいの人口で推移しました。江戸という安定した社会はイノベーションも起こしながら3500万人が食える時代を築いたのです。

明治維新後、わずか60年余りで人口は倍以上になりました。1935年に約7000万人になっています。すごい人口爆発です。産業の近代化が人口を増やしたのです。

現在の1億2700万人がずっと続いてきたような錯覚に陥りがちですが、1億人を超えたのだって'67年になってから。日本の長い歴史の中で1億人を超えているのはたった50年なのです。

この先、人口が5000万人に半減したとしても、巨視的にみれば驚く話ではありません。

倉本 まして46億年の地球の歴史からみたら砂粒みたいな時間ですよ。

河合 その通りですね。もはや少子高齢化を止めることは極めて難しいのだから、縮小していくことをもっとポジティブに捉えたほうがいい。

人口が増えることで掴んできた国際的地位や経済成長に執着していては何もできません。規模は縮小したけれどこれだけはオンリーワンだ、と言える技術や価値をどれだけ持てるかだと思います。

 

倉本 日本では「過疎」って呼ぶんだけど、僕は「富疎」と言ったり「豊疎」という言葉を使ったりしているんです。

だって「疎らになる」ということは一人あたりの所有面積が増えるということでしょう。それは個々の人間からしたら豊かになるということじゃありませんか。

僕はそうした考えで『北の国から』を作り、その舞台である富良野で自然塾を主宰してきたわけです。

それをなんで行政やマスコミは「過疎だ、過疎だ」とネガティブに煽るんだろう。煽れば煽るほど地方は焦って、過疎や限界集落と呼ばれることを恥とばかりに人を増やす施策をやろうとする。無理して企業誘致をしたりしてね。

僕が予想外だったのは『北の国から』がヒットしたことによって、富良野がにぎやかになってしまったことです。今度、我が家の近くに大手のホテルが建つというので参っているんですよ。

河合 自治体間で人口増を競うのは意味がないです。一つの自治体の人口が増えても、日本全体の人口が減ったのでは問題は解決しない。そうした競争は根本的な解決にはつながりません。