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いま親日国カンボジアの人々が中国に共感し、米国を嫌悪する理由

現地を歩き、中国の影響力を見聞きした
阿古 智子 プロフィール

コンポントラジュ市に到着し、覚群学校を訪問した。幼稚園から中学まである生徒数1624人、教師数41人というマンモス校だ。

私は、地方にもこれほど規模の大きな華語学校があるのかと、正直驚いた。

中国語、クメール語、英語で教育が行われている。浙江省温州出身の厳興龍校長は、1995年にカンボジアに移住して以来、20年以上華語教育に携わってきた。

厳校長はカンボジアに来る前、温州でライターの工場を経営していたのだが、アジア通貨危機の前触れだったのか、温州の景気は急激に後退し、厳校長は工場を維持できなくなった。

祖先は潮州出身という、カンボジアで生まれ育った奥さんと出会って結婚した。夫婦共にこの学校で働いている。

(筆者撮影)

覚群学校は100年以上の歴史がある。1970年代半ばにカンボジア政府に一度閉鎖させられたが、1993年に再開した。

近年の華語学習ブームの到来で、生徒数は増加を続けており、本来1クラスに40人が定員であるところ、60〜70人も詰め込まなければならない状態だ。そのため、新しく3階建ての校舎を建設している。

この辺りも、海南島から多くの人が移住しており、海南帮のネットワークがカンボジア華人理事総会の活動を支えている。

カンボジア華人理事総会のメンバーは、最近では、150人の貧困学生の学費を免除するための資金集めに奔走した。

毎学期の学費は中学部が80ドル、小学部は40〜60ドルだという(学年によって異なる)。教師の月給は450ドル程度。カンボジア華人理事総会から50ドルの補助が出る。

「中国大陸の大都市の給料の基準で考えれば、皿洗いよりも少ないんだよ。カンボジアは社会保障制度が整備されていないから、退職金も年金もない。

カンボジア華人理事総会で公的なシステムをつくる話もあるけれど、実現にはまだ遠いね。公的な制度ができれば、教師をローテーションさせられる。教師が不足しているところを補うことができるのだがね」

最後に厳校長はこのように言った。

「子どもが成長して、仕事が持てるようになれば、国は乱れない。盗みとか、ひったくりとか、悪いことをしなくなる。金持ちの子どもも同じだけどね。遊ばせていたらダメだ」

同じようなことを、集成学校の王校長と聖母宮で会ったおじいさんも言っていた。

「私の感覚だと、カンボジアの生徒は6割が明確な目標も持たずに遊んでいる。ギャンブルにはまる中学生もいる。農村から都市に出てきて、苦学を厭わない子もいるのだが。

“一帯一路”で、華語ができる人のチャンスは確実に増えている。華人だけでなく、クメール人も、農村の人たちも、中国語を熱心に勉強している。

ちょっとした通訳ができれば、月に200ドル、300ドル稼げる。プノンペンならこれでは生活できないが、農村だったら、これで家族を養えるんだ」

「昔は海南島の親戚へ送金したり、服を送ったりしていたよ。中国は貧しかった。今はどうだ。中国の改革開放政策はいい。今、カンボジアは人民党と野党がもめているけどね。やはり、自由と民主が一番だ。国が強くなれば、人々は豊かになる」