トランプ、ついに事情聴取へ…追い込まれた大統領の「思考回路」

捜査チームがぶつける「切り札」とは
海野 素央 プロフィール

加えて、トランプ大統領の過去のビジネスに関する質問が加わる可能性もあります。マネーロンダリング(資金洗浄)といった「ホワイトカラー犯罪」にトランプ大統領がビジネスマンとして関わっていたか否かについても、取り沙汰されるでしょう。

あの手この手で目を逸らそうと…

トランプ大統領が、ロシア疑惑に関してある「ジレンマ」を抱えていることにお気づきでしょうか。仮にトランプ大統領が、ウラジーミル・プーチン露大統領にクリミア併合に対する経済制裁で譲歩すれば、ロシア疑惑に関する米国民の疑いの目はさらに強まります。

しかし逆に、プーチン大統領を厳しく非難すれば、米国民は「きっとロシア疑惑から国民の目をそらしたくて、大げさに批判してみせているんだろう」と捉えるでしょう。どちらの出方をとっても追い込まれることになり、トランプ大統領は精神的な葛藤状態に置かれているようです。

そこでトランプ大統領は、ロシア疑惑から国民の目をそらそうと、あの手この手を使っています。

第一に、争点をトランプ陣営とロシア政府との「共謀疑惑」から、クリントン陣営と民主党が一部の資金提供を行って作成した「ロシア疑惑に関する文書」にすり替えようとしています。

トランプ支持者は、ロシア疑惑の捜査のきっかけとなったのがこの文書であり、その「デタラメな記述」に基づいて、連邦議会やFBIが捜査を行ったと信じています。

 

第二に、トランプ陣営は「クリントン財団とロシア政府の関係を捜査するべきだ」と主張しています。

これには、クリントン元国務長官と同財団が関係したとみられている「ウラン合意疑惑」に争点を変える狙いがあります。

「ウラン合意疑惑」とは、2010年にクリントン氏が国務長官を務めていたころ、米国にウランの採掘権を所有していたカナダ企業が、ロシア国営企業に買収されることをオバマ政権が承認し、その直後にロシア側関係者がクリントン財団へ巨額の寄付を行った、という趣旨の疑惑で、トランプ陣営とその支持者は「これこそ真のロシア疑惑だ」と主張しています。

クリントン財団のイベントで話すヒラリー氏(左)と娘のチェルシーさん(Photo by gettyimages)

そして第三に、「モラー特別検察官の捜査チームは公正さに欠ける」と非難しています。その理由は単純で、捜査チームに「反トランプ」のメンバーが含まれていたからです。モラー氏は、このメンバーを現在チームから外しています。

そのうえでトランプ大統領は、こうした問題を捜査する「第2の特別検察官チーム」の設置を強く求めています。セッションズ長官にチームを率いさせ、モラー氏に対抗する特別検察官チームを作らせて、「反撃」を狙っているのです。