求刑は懲役6年…母親が無罪を訴え続ける「虐待事件」裁判の行方

「仮説」で起訴された悲劇
柳原 三佳 プロフィール

あくまで京子さんの犯行とされて

京子さんの主張に基づく事件の経緯については、下記の図を見てほしい。

新聞記事にもあるように、京子さんは、当時2歳半で大変動きの激しかった兄のAくんが、少し目を離したすきに妹を床に落とした、つまりBちゃんのけがは「揺さぶり=虐待」ではなく、あくまでも“事故”によるものだと主張している。

2度目の落下事故がおこった日のことを、彼女は自身の陳述書にこう記している。

<2014年12月18日、生後1か月半の長女の顔色がみるみる変わっていったとき、私はとっさに『子育て便利帳』を手に取っていました。でも、次の瞬間、『これじゃない。119番だ!』と我に返り、慌てて救急にダイヤルしました。その後は、パニックでした。長女を一刻も早く病院に……と、気持ちばかりが焦っていました>

京子さんは119番通報するため、動転したままBちゃんを抱き上げ、一瞬テーブルの上に寝かせたという。ところがそのわずかな間に、AくんはBちゃんの足を引っ張り、今度はテーブルの上から転落させてしまったのだ。

 

救急車で病院へ運ばれたBちゃんの症状は深刻だった。急性硬膜下血腫のほか、吐乳と誤嚥、心肺停止に。その結果、低酸素脳症に陥っていた。

ちなみに、2歳半の兄・Aくんに生後1カ月半の赤ちゃんを抱き上げることができるのか否かについては、実際に約5キロの重さにした人形を使った検証が児童相談所で行われている。

平均より体格の良いAくんがそれを持ち上げて投げ落とす様子が動画で記録されており、京子さんの供述した内容が実際に行えるかどうかについての争いはない。しかし、検察はあくまでも京子さんの犯行だとして、2015年10月7日、彼女を傷害の罪で起訴したのだった。