「焼身自殺で抗議しようと思った」地面師被害者を苦しめた警察の怠慢

騙し取られた総額、5億円

「松田を釈放する」

もとより振り込みは間違いなどではなく、意図した詐欺である。もはや銀行手続きで取り戻せるはずもなく、あとは警察に委ねるしかない。津波は松田を町田署に突き出した。

「そうして松田を町田警察署に引き渡したのです。そこで松田が具体的に警察へどう説明したのかはわかりません。ただ、そのあと町田警察の係長が言った言葉が、妙に引っかかりました。『あんたたち、みなで松田を責め立てたのはまずかったな』と。その意味があとになってようやく理解できました」

津波にしてみたら、死にもの狂いの訴えだ。こう言葉を絞り出し、当時を振り返った。

 

「町田警察に行ったのが夕方の18時頃だったと思います。その場で、『しっかり捜査をしてください』と伝えました。ところが係長は、その日のうちに、松田を釈放すると電話で伝えてきたのです。

松田を捕まえて5億円の行く先を追及すれば、多少なりとも騙し取られたカネが返って来ると思ったので、『そんなバカな、帰さないで捜査してください』と必死でお願いしました。でも『分かった、分かった』と取り合ってくれない。『もう切るぞ』と係長は言ったきり、一方的に電話を切ってしまい、本当に釈放してしまったのです」

津波は犯行の翌28日18時頃に松田を町田署に連れて行き、20時に松田は釈放されたという。その間、町田署による松田の取り調べはわずか2時間程度でしかない。あまりに杜撰な捜査と言わざるを得ない。

津波はそのあと、長野県にある松田の両親の住む実家まで突き止め、5月中に、担当社員とともにそこを訪ねたという。

「実家は安曇野のあたりで、東京から6時間くらいかかりました。そこで『息子さんが騙し取ったカネを返してくれとは言わないから、せめて警察で正直に話すように説得してもらえませんか』とお願いしたのです。しかし、向こう(松田の両親)は慣れたもんでした。また来たか、って感じで、体よく追い返されました。

それどころか、松田の弁護士を名乗る人物から、えらい剣幕で抗議の電話がありました。それで、その弁護士に『先生は当人が詐欺を働いていることを知っているんですか』と尋ねると、『それなら訴えればいいだろ』と開き直る始末でした」

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