新橋カップルがラブホテルではなく「レンタルルーム」にしけ込む理由

イケナイ人妻の告白
本橋 信宏 プロフィール

夫の部下とレンタルルームへ

新橋は喫煙者にやさしい街で、完全禁煙という喫茶店がほとんどなく、この喫茶店のように禁煙コーナーがあっても紫煙が侵入してくる。18年前に禁煙に成功した私にとってはもはや臭い煙でしかない。

「自宅は埼玉です。新橋に来るようになったのは5年くらい前、新橋ガード下に何度か行ったんですよ。有楽町からずっとつづいてますよね。おいしいピザ屋とか居酒屋とかもあるんですよ。みどり寿司も有名だし。ニュー新橋ビルでよく待ち合わせしてます。新橋では第一ホテルの焼き鳥丼が好物です。主人の会社が割と近くなんですよ」

隣接する虎ノ門、霞ヶ関、内幸町には東京電力、メガバンクをはじめとして日本の中枢企業が集中している。

 

40歳になる黒髪の淑女は、小学生の子ども2人とメガバンクに勤務する夫の4人家族、亭主とは社内恋愛の末の結婚だった。

自由恋愛が当たり前の日本において、黒髪の淑女は「主人が初めての男」だったという。

賢夫人、初対面の私相手に話が盛り上がる。

そのうち賢夫人の語りに黒歴史の予感がーー。

「主人より一回り下の部下が肝臓壊して入院したんですよ、この近くの病院に。テニスや野球が好きで体力には自信があったというんだけど、お酒の飲み過ぎですよね。銀行って意外とスポーツマンが多いんですよ。学内推薦で入ってくるような体育会系のポーツマンが多いんです。主人の部下も仕事がハードで連日お酒で肝臓壊して」

賢夫人と夫が入院中の部下をお見舞いに行くことになった。

新橋駅烏森口で夫と待ち合わせして一緒に行くはずだったが、仕事が立て込み、夫が遅れて行くことになった。

仕方なく賢夫人、ひとりでお見舞いに行くと、午後の外出届けを許可された夫の部下が「病院にずっといると気が滅入るから、奥さん、外でお茶しましょう」と誘ってきた。

陽光のなか、シャツにデニムというラフな格好に着替えた夫の部下とともに午後の新橋を散歩する。

「ここ、入りましょう」

部下に言われるがまま、階段で雑居ビルの2階にあがった。

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小さな受付で手続きをすませると、手慣れたように部下は個室に入った。遅れて賢夫人も入室する。

「最初は喫茶室だと思ったんですよ。受付も明るくて変な感じじゃなかったし。ドアを開けて入ったら個室になってるから、ちょっとって思ったんですけど……」

賢夫人が連れ込まれたのは新橋名物のレンタルルームだった。

「自販機で買ったウーロン茶を飲んで世間話をしていたんです」

レンタルルームはべつに性的な行為をするだけではなく、外部に聞かれてはまずい商談をしたり、昼間、サラリーマンがつかの間の昼寝をしたり、書類整理といった仕事で使うときもある。

賢夫人と部下も談笑の場として時間を過ごしていた。

ところが、色香漂う人妻と長引く入院で欲求をため込んだ30代独身銀行員が、密室で長い時間世間話だけで終わるはずもなかった。