「CDが売れない時代」に、金爆・鬼龍院翔が問いかけること

彼は今、こんなことを考えている
柴 那典 プロフィール

鬼龍院 ヴィジュアル系バンドは複数売りが大得意なジャンルで、いろんなバンドが当たり前のように3種、時には4種のCDを売っているんです。

で、僕もよく「こんなに複数売って多すぎませんかね」って言ってたんですけど、そのたびに事務所に「ウチはまだいい方だ」と言われていて。

でも、それが大きな間違いだと気付いたんですよね。「ウチはまだいい方」って言っても、ファンはウチしか見てないわけだから。

 

音楽のどの部分にお金を払っているのか

――『ローラの傷だらけ』を出したことで、自由になったというか、自分たちの活動を自分たちで舵取りできるようになった感覚はあったんじゃないでしょうか。

鬼龍院 その通りです。すごく自由になりました。あれをやったことによって、ファンの方がどのような特典が欲しいのかわかりましたし。ああいう売り方をすることによって流通やCDショップのような方々に迷惑がかかることも知った。

結局、CDは売っていかなくてはいけないものではあるので、そういう人たちを敵に回すのはただの損だと思うんで、だから毎回これをやるわけにはいかないと実感しました。

――次のシングル『死 ん だ 妻 に 似 て い る』ではメンバーの体臭を再現した「体臭カード」を封入したCDをリリースしました。

鬼龍院 ファンの方もCDショップも流通の方も全員喜ぶのはなんだって考えた時に、次のシングルではメンバーの要素を逆に強く出そうと思ったんです。

これも『ローラの傷だらけ』の時にファンの方に「写真すらないなら他のメンバーの要素がないじゃないか」ってご意見をいただいたのがきっかけなんですよね。

だったら他のメンバーが歌ったバージョンを出して、じゃあ体臭もつけてやろうっていうことで。結局は4種売りなんですけれど、企画自体が面白いからファンの方には喜んでもらえたという。それができたのも『ローラの傷だらけ』があったからだと思います。

――この一連のリリースって、ファンが音楽のどの部分にお金を払っているのかっていうのを、すごく極端な形で明らかにした試みだったと思うんです。

鬼龍院 やっぱりみんななんとなく音楽を消費して、なんとなくアーティストを追いかけてると思うんですよ。

だから言い方は悪いんですけど、ああでもしないとみんな考えないと思ったんですよね。ああいうやり方をすれば「私は何円であの曲を買ったんだ」ってハッキリするじゃないですか。

だから、お客さんも次からはお金をどこに払っているかもっと考えられるようになると思ったんですよ。だからやっておくべきことだったと思います。