「CDが売れない時代」に、金爆・鬼龍院翔が問いかけること

彼は今、こんなことを考えている
柴 那典 プロフィール

「音楽は宗教」に対するカウンター精神

――鬼龍院さんがゴールデンボンバーをエアーバンドという形で始めた時には、おそらく周囲からも疑問や反感のようなものがあったんじゃないかと思うんですけれども。

鬼龍院 「なにがやりたいの?」とは、よく言われました。身近な友人もそうだし、メンバーにすら言われたことがありますからね。

――その時はどう答えていたんですか?

鬼龍院 駆け出しの頃は、少しは悲しい気持ちになりながらも「だろうな」って思ってました。やっぱり「生演奏でない音楽は悪である」みたいな漠然とした認識が広まっていたので。

そこに僕は切りこんでいかなければいけない。普通の人が音楽に抱いている固定観念が大きすぎて、そこから崩していかなきゃいけないから、すごく大きな仕事だと僕は思ったんですよ。「音楽は宗教である」と、僕はずっと言ってるんですけど。

――以前にもブログやインタビューで「音楽宗教論」という考えがあると言ってましたよね。音楽を宗教のように崇める風潮に対してのカウンター精神がある、と。

鬼龍院 そうですね。戦争を仕掛ける覚悟でやらなくちゃいけない、ってよく書いていました。でも、勝ち目はあると思ったんですよ。

――活動を続けていく中で、その考えは変わりましたか?

鬼龍院 エアーバンドが成功したことによって、あてぶりへの嫌悪感が少し和らいだくらいですかね。音楽が宗教のようなものであるという考え自体は、変わらずに根底にあるものだと思います。

よくツイッター上でもいろんなアーティスト同士のファンが喧嘩しているじゃないですか。僕はあれを戦争の縮図だと思ってるんです。信じる物をバカにされると不安になって怒る、そこで争いが始まるという。

 

複数枚買わせるのは申し訳ない

――僕は、ゴールデンボンバーが『ローラの傷だらけ』や『#CDが売れないこんな世の中じゃ』でやったことは、ある種のポップアート的な表現だと思ってるんですよね。

アンディ・ウォーホルが「キャンベルのスープ缶」でやったこと、マルセル・デュシャンが「泉」でやったことと同じように、今のJ-POPシーンにおいて音楽というものの価値を問い直している。

鬼龍院 そういう風に言ってくださるファンの方もいますね。でも、もっとありふれた言葉でいうと「メタ視点」っていうものだと思うんです。物事を引いた目で見るという。

僕は音楽に関して、みんなが情熱を持って信じ込むところを醒めた目で見るようになってしまっているから、そういうことをやれるんでしょうね。

でも、それでいて僕はどこかで音楽を好きだし、自分の作った曲が好きだから、開封されないCDを見て悲しく感じるんです。

ただ、そもそも、『ローラの傷だらけ』で特典をなくしたのは、世間へどうこうという気持ちは全くなくて。お客さんに複数枚買わせるのは申し訳ないっていう気持ちと、事務所への反発だったんです。

――事務所への反発というと?