鬼龍院翔さんの発想や思想はどこから来ているのか?〔PHOTO〕三浦咲恵

「CDが売れない時代」に、金爆・鬼龍院翔が問いかけること

彼は今、こんなことを考えている

20歳の頃に好きだった子が…

ゴールデンボンバーの鬼龍院翔は、音楽業界の構造の激変を楽曲やパフォーマンスの格好の“ネタ”にしてきたアーティストだ。

バンドは2年7ヶ月ぶりとなるアルバム『キラーチューンしかねえよ』をリリースした。その収録曲『#CDが売れないこんな世の中じゃ』は、昨年に「ミュージックステーション」(テレビ朝日系)にて初披露された一曲。

番組では楽曲を無料でダウンロードできるQRコードを掲げるパフォーマンスを行い、ツイッターのトレンドワード1位となるなど大きな反響を巻き起こした。

鬼龍院翔はブログにて、パフォーマンスを思いついたきっかけが拙著『ヒットの崩壊』を読んだことにあったと綴っている。

同書では彼が2014年にシングルCD『ローラの傷だらけ』を一切の特典をつけない形で発売した試みを取り上げ、単に特典商法を批判したりCD不況をテーマにしたりするだけでなく「そもそも音楽を売るとはどういうことか?」という巨大な命題に向き合っているアーティストだと評している。

そもそもゴールデンボンバーはメンバーが演奏しない「ヴィジュアル系エアーバンド」として活動し、ブレイクを果たした。

音楽シーンにおける「当たり前の前提」をあえてズラすような発想を持って活動し続けているのが鬼龍院翔というアーティストだ。

彼の思想の由来から、次なるヒットの生み出し方まで、さまざまな話を語ってもらった。

(取材/文・柴那典、写真・三浦咲恵)

鬼龍院翔さん

「音楽とはなんだ?」を死ぬほど考えた

――『ヒットの崩壊』でも書きましたが、鬼龍院さんは「そもそも音楽を売るとはどういうことか?」について、とても真摯に向き合っているアーティストだと思います。こういう考え方を持つようになったのはなぜか、というところから話を訊ければと思うんですが。

鬼龍院 たしかに、僕は音楽というものを離れた場所から冷静に見ている人間だと思います。おそらく、それは僕が20歳の頃に好きだった女の子のことが影響していて。彼女は耳の聞こえない子だったんです。

 

――その方も音楽は好きだったんですか?

鬼龍院 そうですね。音楽への憧れはすごくあって、カラオケにも行ってました。その子が好きだったのがPaniCrewさんというダンスグループで、「やっぱりダンスはそういった人にも伝わるんだ」っていうことも思いましたし。

年頃の女性でしたから、好きなアーティストの一つや二ついないと若者の文化についていけないじゃないですか。

でも、そこまでして「音楽が好き」と言わざるをえない、この状況は一体なんだろうと思って。だから「音楽とはなんだ?」っていうことを死ぬほど考えたんですよ。

――たしかに、他のミュージシャンはそういうことは考えていないかもしれないですね。当然に音楽が好きで、だから音楽をやるというのが前提にある。

鬼龍院 僕もミュージシャン志望だったんですけど、そういう経験があったんで、音楽のあり方に疑問を持ちがちな人間なんですよね。

人々は「音楽を好き」と言いたがるし、「音楽を趣味」と言いたがるし、自分の好きな音楽をプロフィールに書きたがる。人々が持っている音楽への憧れって一体なんだろう?という。