長男が明かす、真屋順子さんが 「全身衰弱」で亡くなるまで

闘病17年の記録
週刊現代 プロフィール

「生きるのが面倒臭い」

約2週間後、真屋さんは息を引き取る。死因は「全身衰弱」だった。最期は苦しむことなく逝ったことに、健一郎さんはホッとしたという。

「生きて生きて生き抜いてから、体中の機能、栄養を使い果たして亡くなったな、と。まるで電池が切れるように……。

闘病中は、介護をする側にも苦痛が伴ったり、労力や時間がかかったりします。本当にこれでいいのか、この治療に意味があるのかと、疑心暗鬼にもなります。

生きるということは、ただ命があるだけという状態なのか、それとも生きる意志があってのことなのか――様々なことが頭をかすめました。

女優だからといって、無理な延命治療を続けるよりも、もうやめたほうがいい。最低限の命を続けていくだけでいいじゃないか。そう言おうとしたことも、何度もありましたよ。

最期まで何をどうしていいのか、わからずじまいの17年間でした。でも、意味のある17年間だったと思いたいですね。意味があったと思わないと、やりきれません」

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昨年7月には闘病中の姿をテレビでも公開し、真屋さんは自らの生に意義をもたせようと、必死に生きた。

一方で、生きる意味を見出せず、漫然と生きるしかない人も世の中には多数存在する。

『話の特集』元編集長の矢崎泰久さん(85歳)が心境を話す。

「毎日死にたいと思って生きているよ。楽しくなければ生きていても意味がない。生きているのが面倒臭いから死にたくなるんだ。年を取って一番参っちゃうのは、やりたいことに体がついてこないことだね」

 

死にたいのに、死ねない――。そう話す矢崎さんは、'11年に飛び降り自殺で亡くなった友人の音楽評論家・中村とうよう氏(享年79)の話を持ち出した。

「中村とうようは凄いヤツだよ。飛び降りたら確実に死ぬだろうというマンションの8階の部屋を事前に買って、80歳になる直前の、血を洗い流してくれる雨の日に飛び降りた。

前日にはオレたちに手紙を送ってくれていて、着く頃にはもう死んでいた。計画的にちゃんと死んだんだからすごいよ。

でもオレは痛いのが嫌だから、自分では死ねないんだ。いま、マンションの6階に住んでいるんだけど、部屋に原稿を取りに来る編集者に、『頼む、オレをベランダから突き落としてくれ』って何度も頼んでみた(笑)。だけど、本当にオレを突き落としたら、そいつが罰せられる。

かといって、自分で死ぬのはドラマチックじゃない。楽しく面白く死にたい。でも、その方法がわからない。どうやったら、楽しく面白く死ねるか……永遠の謎だろうな」