漫画家のかなしろにゃんこ。です。発達障害である“ADHD”と“軽い自閉スペクトラム症”を抱える息子・リュウ太も、早いもので現在19歳。この連載では、そんなリュウ太と過ごしてきたこれまでの“トラブルが絶えない日々”を振り返っております。
(前回までの記事はこちらから→http://gendai.ismedia.jp/list/author/nyankokanashiro)
発達障害がある子の育児は、「オモシロイ!」と思うことがたくさんあります。
いや、もちろん育てにくいですし、障害特性が原因でイライラさせられることが多くて大変!それでも「オモシロイ!」と肯定的に思えるようになってきたのは、息子が理屈を理解しはじめた小学校6年生頃からだったでしょうか。
小学校中学年頃までは、自分の話したいことは何時間でも話すのに、人の話を全く聞いてくれなかった息子。伝えたいことがあっても、意志の疎通すらうまくいかないもんですから、
「私は一生子どものことで悩み、苦しんで死んでいくんだわ…。あぁしんどい人生…」
なんて思っていたものです(涙)
そんなザルの耳を持つ息子でも、小学校高学年になって物事の道理が分かりはじめると、成長が見えはじめました。
そんな息子の成長を見守る日々は、誤解を恐れずにぶっちゃけるなら、
“愛について知らないヘッポコ宇宙人に、「地球人は思いやりや感謝を持って人と繋がり、支え合って暮らしているんですよ」と丁寧に教え込む日々“
といった感じでしょうか。失敗しながらも、徐々に地球に順応していく様がオモシロイんですよね。
ただし、宇宙人に地球の思いやりを教えるのには、少々コツがいります。
私が息子を宇宙人扱いしてしまうのは、教えたことや注意したことに
「オレにはその考えがないから分からないな」
などと、あり得ない反論をしてくるからです。
例えばある日、友だちとトラブルがあったという話をしてきたので
「周りにモンクばかり言っていないで、困っている人がいたら積極的に親切にしなさい」
と諭しました。すると息子は
「無条件に誰かに親切はできない!そんなの損じゃないか!」
と、損か得かというヘリクツで反論してきて、私をキレさせたんですよね(涙)
そこで私は、敢えて息子側の視点に立って、
「それは違う!人に優しくするのは得なことだ!」
という“損して得取れ”の話を、図で説明してみました。
「親切は巡りめぐって、数年後に何倍にもなって返ってくるもんだ。だから普段から人に優しくしなさい」
という話を図解したわけです。
「フンッ。そういうもんかね?」
と腕組して聞いていましたが、“お得”というキーワードを提示すると、少し耳を傾けてくれる息子なのでした。