大手ITの働き方を劇的に変えた「リズム・オブ・ビジネス」とは何か

驚異的な売上&幸福度アップと経費削減

次に取り組んだのは「フレキシブル・ワーク」と呼ぶ社内システムを使ったコミュニケーションだ。

社内SNSと自社開発の「Office365」を用いてシステムを構築し、大きな部屋に様々な部署の従業員が集まってワイワイガヤガヤと情報交換する、日本流の「大部屋」「ワイガヤ」をネット上に実現した。それによって、入社間もない新人でも、違う部署の専門知識や先輩の経験値を得ることができるようになった。自社製品を社員自ら使うことで、機能改善につながる一石二鳥の施策でもある。

さらに、勤怠管理や出張申請も遠隔でできるようにし、全社員が専用のノートPCを使用する。見積書や契約書などの文書は全て電子化、オフィスから個人専用のデスクを廃止した。

 

「ここで仕事をしろ、ここから動くな、ではなくて、いつ来てもいいし、どこで誰と話してもいい。ネットを介して仕事をするからこそ、大勢の人と会って話すことが大事」(日本マイクロソフトエグゼクティブアドバイザーの小柳津篤氏)

それによって直近5年間の社員1人当り売上高は26%増、具体的には86万ドル(1ドル110円として約9500万円:2015年実績)と驚異的な数字が出ている。

そればかりか旅費・交通費は20%減、女性離職率は40%減、ペーパーレス達成度は49%、社員のワークライフバランス満足度は40%増というから、かなりの成果が上がっていると言っていいだろう。(下図)

日本マイクロソフト提供

実際、筆者が知っている同社の女性社員は、休日と平日の区別なく仕事で海外を飛び回るかたわら、山梨でブドウ栽培とワイン造りを楽しんでいる。まさにITを駆使した働き方改革が「生産性革命」につながった好例だ。

中小企業にも改革はできる

このような例を示すと、多くの企業の社員は「マイクロソフトは外資系企業だから」とか「規模が大きい会社だから、思い切った投資ができて羨ましい」等々、その要因に「特殊な事情」を列挙する。だが、これは「できない理由」を探しているのに等しい。

中小企業でも、改革を実現したところは出てきている。「納期・納品のない受託開発」を提唱するソニックガーデンという2011年設立のソフトベンチャーは、全社員のリモートワークが必須で、2016年には本社オフィスを撤廃してしまった。

同社のエンジニアはどこにいても仕事ができる。「リモートワークは、オフィスで集まって働くことの進化形ではないか」(同社の倉貫義人社長)という。