photo by Tatsuya Hamamura

ブルセラ少女が慶應受かってAV嬢…人生3回くらい終わってる?

【特別対談】オンナと金の不器用な関係

現代ビジネスの鈴木涼美さんの好評連載が書籍『オンナの値段』として発売! 刊行を記念してスペシャルトークショーが行われました。お一人目のゲストはノンフィクション作家の中村淳彦さん。デビュー作より鈴木さんに注目していたという中村さんが“鈴木凉美”の裏側に迫ります。同じAV業界をテーマに扱う二人の正反対の世界観とは。

女の子たちとなに話す?

中村 『オンナの値段』を一昨日くらいに読みました。すごいですね、これは。取材じゃなく、単なる女子トークだけが情報源となっている。女子トークをここまでのルポにした文章は今まで見たことがない。さらにすごいのは主観が一切ない。様々なアングラ経験とアカデミックの文淫両道いうの。そういう経験していると、ここまでフラットになれるのかと感心した。

鈴木 単純に、面と向かった取材は、それこそ中村さんのような上手いジャーナリストがいらっしゃいます。対して、私の強みは、おじさんたちが入っていけない女子トークの内側にいることです。中村さんはどちらかというと、人の話を聞きながら一緒に落ち込んだり、凹んだりしてより話を深掘りしていかれるじゃないですか。でも私はついつい、面白がっちゃう。

photo by Tatsuya Hamamura

本の中に出てくる、全然働かない女の子の話や、ラブホに住んでセレブ暮らしをしている子の話とか、あほくさくて面白くないですか? 私は基本的に女の子と1日飲みながら話せば原稿3本分は盛り上がります。

中村 AV撮影現場とかブルセラショップの、控室で盛り上がった話が掲載されている。女子トークは男からみれば、よくあんなに話すことがあるなと思うけど、いったいなにを話しているの?

鈴木 大体は、人の悪口と恋バナですね。ただ、この歳になって、面白いと思う話題の一つにお金の話があります。これは本の執筆動機にも繋がりますが、私自身、極端にお金を稼いで使ってる時とそうでないときがあって、不器用にお金と付き合ってきた歴史がある。

私の周りの女子たちも、だいたいお金に困っているか稼いでもロクなことに使ってないかのどっちかなんですよ。女子トークにも、「あー、お金足りない」「またカード請求50万円も来ちゃった」なんていう話題がちらほら出てきます。

みんなホントにお金との付き合いがへたくそだなって思ったから、女とお金についての本を1冊書きたいなと思いました。そのタイミングで連載のお話をいただいたので、変なお金の使い方をしている子を集めたら面白いかなっていうのが『オンナの値段』の最初の入口です。

中村 この本を読むと、夜職の業界がものすごく景気よく見える。俺の感覚だとこんなに豪快に使う子は減っている。巨乳で華やかな鈴木涼美周辺は業界の上層で、数少ない稼げている層と思ったけど、どう?

 

鈴木 確かに、例えば風俗嬢で景気良く稼いでバンバン使っている子の総数は減ったかもしれません。でも、まだいるじゃないですか。貧困の話はほかでもたくさん書かれてるし、私は景気のいい話もやっぱり好きです。景気はいいけど、どこか滑稽で、少し病的で、でも楽しそう。

例えば、全く同じ人に取材しても中村さんと私では見える姿が違いそうですよね。中村さんが書くと一見不幸そうに見える女の子でも、もしかしたら私が書くと能天気に見えるかもしれない。一度、まったく同じ女の子を取材して1本ずつ記事書いてみたい。顔も不細工で風俗しかできる仕事がないって見ると不幸に見えるけど、でも、そんなブスなのに風俗で月30万稼いでいるって考えるとなんだかんだ悪くないな、とも思えません?

中村 誰でも話をする相手によって、どの視点から語るかは変わってくるからね。とはいえ、僕が日常的に取材している貧困の子たちと、鈴木涼美と話しているところは想像できない。貧乏くさい人の話より、たしかに儲かって豪快にお金使う話のほうが面白い。それに華やかで豪快な話に憧れる女子が続々出てくる感じはあるよね。