「AV出演強要」何が問題だったのか?有識者委員会メンバーが明かす

女優たちが本当に望んでいたこと
河合 幹雄 プロフィール

出演がバレないと思っていたが…

業界の本気度に手ごたえ感じ、女優との契約書を見直し、禁止事項を設けていけばよいと考えてスタートしたが、実際にAV女優たちが望んでいたことは別のことだった。それが前述した、予想が半分違っていたことである。

業界の方々からヒヤリングすると、昔はともかく、現在は、現場で女優が酷い目にあうようなことは、あったとしても2~3%以下ではないかということであった。

ところが、HRNなどの人権団体に駆込む女優の数は三桁にのぼっていた。これは数が全然合わない。被害者が全員、人権団体に駆込むわけではないことを考慮すれば、これは、何か違うことが起きていると考えざるを得なかった。

有識者委員会を立ち上げると、すぐにこちらに救いを求めてくる女優が現れた。面接してみると答えはすぐにわかった。

昔自分が出演した作品のネット配信を止めてほしいということであった。

数年も遡れば、時代が違っていて、出演女優たちは、経済的な目的や、思い切ったことをやってみたかったなどの動機で出演するのだが、自分がAVに出演していることは、周りの人々にはバレないと思っていた人が多数いたようである。

出演契約上、映像に対する全ての権利を永久に譲渡しますとなっていて、現在のネット環境だと、バレないと思っていた自分の出演作品が、未来永劫に渡って配信され続けるようになっている。

その上、オムニバス編と言われる、幾つかの作品をミックスして編集しなおした作品も、メーカー側は自由に製品化できる。作品の検索は、内容のジャンルか女優ごとになっているため、アイウエオ順に女優の一覧があり、容易に探すことができる。

これは話が違うというわけである。女優側から見れば、契約上、無限に使用できると書いてあるので、ネット配信を止める手段は、出演強要されたとでも言うしかない。なるほどである。

 

ここで忘れてはならないのは、本当に出演強要された被害者も、実は、まず作品の配信と販売を止めたいことである。

したがって、人権団体は、そのために努力してくれる。成功例を聞けば、次々に依頼者がでてきて不思議はない。

有識者委員会としては、本当の被害者にとっても、一昔前に出演して配信を止めてほしい人、どちらにも必要で急ぐテーマとして、まず、この問題に迅速に対処する方針を取り、配信・発売開始から5年経過を一つの区切りとして、本人の申し出があれば、配信を止めるルールづくりをした。

なお既に出荷販売されているDVD等は回収しない。女優が望めば、5年以降も配信継続する。

残る課題は手続きである。

有識者委員会と同じメンバーで10月から発足したAV人権倫理機構が、申し込みを受け付け女優の本人確認をしたうえでネット配信・販売を止める依頼をする。

受付開始は今月中には始めたい。詳細はAV人権倫理機構ウェブサイト(2月初めに公開予定)に記載する。