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「AV出演強要」何が問題だったのか?有識者委員会メンバーが明かす

女優たちが本当に望んでいたこと

謎に包まれていたAV業界

2016年3月3日、NGOのヒューマンライツナウ(以下HRN)が、AV業界で女優に対する「出演強要」が起きていることをレポートし法規制による対応を国に求めた。

内閣府の男女共同参画会議が動き、主要新聞、週刊誌等が挙って報道した。警察も動き、2016年に労働者派遣法違反でプロダクション代表を逮捕、有罪になっている。

その後、不起訴にはなっているが公然わいせつ罪容疑も含めて、ガサ入れが続き、2017年1月には、裏ビデオ制作でカリビアンコム関係の撮影会社社長、出演女優、男優が逮捕された。

AV業界には、業界団体はなく、表現自主規制のための審査団体を核に、幾つかの集団があるだけである。監督官庁もなく、しいて言えば警察庁なのかという状態である。

したがって、立法がされるさいには、業界団体から意見聴取されるのが、現在日本の通常の手続きだが、男女共同参画会議から業界側を代弁する人物へのヒヤリングは未だにない。

また、マスコミもAV業界側への取材に基づく報道は少ない。

合法のAVだけ取ってみても、メーカーと呼ばれる製作会社がいったい何社あり、女優を売り込むプロダクションが何社あり、はたまた女優が何人いて、年間何本のビデオが制作され、売上高はいくらなのか、全て謎のままである。

そんななか、2017年4月、私のところにAV業界の健全化に手を貸してくれという話が舞い込んだ。AV業界改革推進有識者委員会のことである。

引き受けることにした経緯も含めて、本稿では、委員会の公式見解ではなく、私個人の印象と意見をまとめておきたい。

 

有識者委員会に参加した経緯

4月当初の私の認識は、凶悪犯罪が大幅に減少しているのに犯罪不安が高まり、食品の安全も大きく改善しているのに消費者の不安が高まっているのと同様に、AV業界も、それなりに行儀良くなってきているにもかかわらず、許容度のハードルが上がって非難されているのだろうということであった。

その予想は半分当たり半分違っていた。

確かに80年代にVHSビデオとともにAVがブレイクした際には、AVに出演など、よほどのわけありの女性しかあり得ないイメージであり、出演の取り付け方が乱暴であったという都市伝説のようなものも残されている。

それが90年代に近づくと徐々に、明確に自分の意志で出演したと堂々と主張し、テレビの深夜番組(オールナイトフジ、おとなの絵本)に進出するAV女優が現れてきた。

そしてついに21世紀にはいったら、自分から出たいという志願者がプロダクションに多数応募してきて、大多数は断られているという状況になっている。

また、芸能界との境界が次第に曖昧になってきている。遡れば86年デビューの小林ひとみが元祖だが、写真集を出しまくり芸能アイドルとルックスも変わらない女優が次々に出てきて、現在の恵比寿マスカッツに至っている。