首都圏不動産「バブルの正体」が分かった

寿命100年時代のマネーシフト⑦
加谷 珪一 プロフィール

価格下落は限定的か

首都圏の不動産価格高騰が、こうした局所的な人口動態に関係しているのだとすると、問題は、この人口増加がいつまで続くのかということである。

図2は国立社会保障・人口問題研究所が実施した日本全体の将来人口予測と東京都が行った人口予測を重ね合わせたものである。これによると日本全体の人口はすでに減少が進んでおり、今後、その勢いが加速することになる。だが東京の人口は、地方から人を吸い寄せることで2025年までは増加が続くと予想されている。

だが日本全体の人口が減っている以上、やがては地方から移動する人もいなくなってしまうので、東京も2025年を境に人口減少に転じることになる。2025年以降の状況を市場が織り込み始めた場合、東京の不動産価格も頭打ちになるか、場合によっては下落に転じることになるだろう。

もっとも現在の東京の不動産価格は実需によるものだけでなく、外国人投資家などによる投機目的のものも含まれる。こうした物件は市況が悪化するサインが出ると即座に売りに転じるので、一部の物件は急激な値下がりがあるかもしれない。

だが、グラフからも分かるように、東京の人口減少ペースは他の地域に比べると圧倒的に緩やかである。しっかりとしたテナント需要が存在する物件であれば、仮に市況が総崩れになっても、それなりの価格を維持できる可能性が高い。

 

不動産情報サイト「ライフルホームズ」の賃料情報をもとに算定した、2018年1月時点における東京23区のファミリー向け物件の単純平均家賃(2LDKクラス)は18万6000円だった。東京カンテイが調査した2017年11月時点における東京23区の中古マンション(ファミリー向け)平均価格は、70平方メートル換算で5332万円である。

これらのデータを使って単純にマンションの投資利回りを計算すると4.2%になる。同一条件での比較ではなく、しかも固定資産税や各種経費などを考慮しないグロスの概算値だが参考にはなる。グロスで4%台というのは、収益物件としては厳しい水準だが、バブルというほどではない。

首都圏の不動産価格が今後下落することがあっても、壊滅的な状況にはならないと筆者は考えている。