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首都圏不動産「バブルの正体」が分かった

寿命100年時代のマネーシフト⑦

首都圏を中心に不動産価格が高騰している。一部からは、すでにバブル状態となっており、オリンピック特需の消滅をきっかけに、暴落する可能性があるとの指摘も出ている。

都内の不動産価格が高騰しているのは事実だが、局所的な価格動向だけを見てバブルかどうかを判断するのは拙速である。不動産市場について俯瞰的に眺めた場合、楽観視はできないものの、必ずしもバブルとは言えない状況が浮かび上がってくる。

(この記事は、連載「寿命100年時代のマネーシフト」の第7回です。前回までの連載はこちらから)

マンションは3割上昇したが…

不動産経済研究所の調べによると、2017年の首都圏における新築マンション平均価格は5908万円となっており、5年前との比較で約30%値上がりした。東京23区の値上がり率はさらに大きく34%に達している。中古物件も同様で、首都圏全体では約29%、東京23区では36%上昇した(東京カンテイ調べ、2017年11月時点)。

国税庁が発表した2017年の路線価によると、銀座5丁目の「鳩居堂」前の価格は1坪あたり1億3300万円だが、この金額は、バブル直後につけた高値である1億2000万円を上回っている。都内の不動産が高騰しているのは事実であり、これに加えて「バブル超え」などと聞くと、不動産市場が活況を呈しているように思えてしまう。

だが実際には、すべての不動産が一律に上がっているわけではない。中古マンションの価格調査はあくまで売却希望価格がベースであり、実際にいくらで売買が成立したのかまでは分からない。また一部の人気物件が価格を引き上げている可能性があり、人気のない物件はあまり値上がりしていないというのが現実である。

実際、都内でも、5年前との比較で希望価格が10%程度しか上がっていない物件も見られる。バブル時代のように何でも上がるという状況にはなっていない。

不動産の価格は場所による違いが大きいため、局所的な価格推移だけを見てしまうと全体の動向を見誤る可能性がある。不動産は金融商品でもあるため、株式や債券など他の金融商品との関連性にも目を向ける必要がある。

現在の不動産市場がバブルなのを判断するためには、まず、日本全体の不動産市場がどのように推移してきたのかについて知っておく必要があるだろう。

 

現在は「国債バブル」

バブルというのは情緒的かつ曖昧な言葉で、明確な定義があるわけではないが、一般的には適性水準を超えて価格が形成されている状態のことを指している。バブルは一種の金融現象なので、発生時には他のセクターから過剰な資金が集まることになる。逆にいえば、資産セクター間の資金移動を見れば、バブルの状況を把握できる。

図1のグラフは、日本における株式、債券、土地の総残高が、GDP(国内総生産)に対してどう推移したのかを示したものである。数字は残高の絶対値ではなく対GDP比なので、経済規模に対してどの資産セクターが過剰に資金を集めているのか直感的に理解できるはずだ。

グラフを見ると、バブル経済の時代には株式と土地のGDP比が極めて大きくなっていることが分かる。80年代バブルを象徴するキーワードは「不動産」と「株式」だが、数字の上でもそれは一目瞭然だ。資金が集まって価格が高騰し、価格が上がるのでさらに資金が集まるというまさにバブルの典型パターンである。

株式についてはバブル崩壊後、10年近く不振が続いたが、2000年のネットバブル、2008年のリーマンショック前バブルなど小さな価格高騰が観察される。2013年からはアベノミクス相場が始まっており、資金の集まり具合はリーマンショック前の状況を超えている。見方によっては現在の株式市場は加熱しているとの解釈があり得るかもしれない。

これに対して不動産は一貫して下落が続いており、このセクターにはほとんど資金が集まっていないことが分かる。マクロ的に見るとバブルどころか資産としての価値を失いつつあるといってよいほどの状況だ。