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日本育ちの子をお金をかけずにバイリンガルにする「2つの方法」

なんとポイントは国内旅行?

前回の「日本育ちの子をインターナショナルスクールに入れるのは愚の骨頂」という記事では、「バイリンガルにするには、英語の早期教育より何より母国語をきちんと育てることが大切だ」ということをお話させていただきました。

「子供には将来英語を使えるようにさせるには幼少からインターナショナルスクールに行かせないといけない」と思いこんでいて、諸々の事情から諦めていらした方、英語力を諦める必要は全くないのです。

日本語で思考する能力を持ちながらきちんと中身のある英語を話すことのできる、グローバルな真のバイリンガルの道は遠くありません。

そこで、今回は同時通訳者として仕事をしつつ、日米でネイティブでない方々に英語教育を手掛けている私の経験を踏まえて、お金をあまりかけずして真のバイリンガルになるための方法について、入り口となる基本の2つに分けてお伝えしたいと思います。

国内でグローバルを養う

グローバルなものの考え方をする大人にするためにまず大切なのは、日本国内を周りの大人と一緒に見て、その後、「世界を自力で見たい」と子どもに思わせることです。興味を持たなければ、身につくはずがないからです。

自分の出身国のこと、その国の地理、歴史、文化的背景を知ってこそ初めて、他国のことを知り、違いに気づき、受け入れ、誰もが生きやすい世の中作りの一助を担うグローバルな人材の素地が出来ると私は考えています。

日本の生活科や社会科同様に、アメリカの小学校でも、Social Studies(日本でいう生活科、社会科)の授業があります。ここでは、自分→家族(社会の最小単位であることを認識させる)→家族が所属するコミュニティ→市、郡など→州→合衆国連邦→世界へ、と視点を広げていき、地理や歴史、世界情勢を段階的に学んでいきます。

まずは夏休みなどのまとまった休みが取れる時に、家族で毎年テーマを決めて日本各地について学んだり、もし可能なら旅をして回ったりすることから、子どものグローバル化を応援するのはいかがでしょうか。

 

学年の初めに学校から教科書が配られたら、その学年で学ぶ単元をざっとさらうために、まず周りの大人が一通り目を通します。

国語の教科書に黒部ダムに関する説明文が載っていたら、子どもに黒部ダムがどこにあるのか地図で調べさせ、その年は「中部地方」または「富山県」を研究する夏休み。

富山県の、長野県との県境近くにある黒部ダム。日本最大級のダムとしても人気の観光スポットだ。ここから長野をめぐるのも楽しそう。Photo by iStock

社会の教科書に県境や海峡について書かれていたら、地図を見ながら県と県を繋ぐ関門海峡を車で渡るイメージの夏休み、というように、机の上の学習を外に向けて広げていくのです。

旅行雑誌は数百円で購入できますし、各地方自治体の図書館でも多く揃っています。旅行予算を子どもに伝えて行先を考えることは、生きた算数の勉強になりますし、旅行雑誌や地図を見ながら旅行行程表を作ることに慣れておけば、舞台がいざ世界地図に広がった時にも難なく対応できることでしょう。

本当に旅ができなくても、旅行本から「日本を知る旅」はできる。写真/西宮凛

被爆地を訪問すれば、歴史から他者の痛みや悲しみを知ることでしょう。

東日本大震災、熊本地震などの被災地に行くことは、牙を剥く自然に対してもう一度立ち上がるための力が人間には備わっていることや復興をリアルに感じ、自分には何を出来るのかをその年齢なりに深く考えるきっかけになることでしょう。

各都道府県それぞれの良さがあり、目の前に広がる土地の向こうにも、そしてあらゆる場所に生きている人がいることをダイナミックに目の当たりにした経験は、「じゃあ、世界はどうなっているんだろう」という次の興味に繋がるはずです。その興味が出るきっかけとなる出来事、環境、事象を、幼少から学齢期に散りばめてあげることが大切です。

また、自国を知ることはアイデンティティの形成につながり、グローバルな人間には必要不可欠であることも忘れないでいただきたいと思います。学齢期の今は、母国語をベースに自分の身の周りのことや自国のことを知る体験をたくさん集めていってほしいと切に願います。