廃校危機の女子校を救った校長が語る「人を動かす4つの法則」

制服改革はこうして進められた
漆 紫穂子 プロフィール

そこで、誰かに話を聞きに行くときには、一人ではなく、いろいろな立場の人と一緒に行くようにしました。すると、そこで得た気づきが、立場が違う人のそれぞれの口を通して校内に浸透していくようになったのです。

今では、保護者の方や、生徒とも情報共有することを大切にしています。例えば学校の財務情報もホームページで見られるようにしています。

品川女子学院のホームページに掲載されている財務情報。だれでも閲覧可能だ。

言っていることと、やっていることが合っているかどうかを確認してもらうためです。

また、生徒にはシラバスを提示し、授業の計画が先までわかるようにしています。最近では生徒間でのITによる情報共有も進んでいます。教員と生徒が参加するSNSもあり、そのアプリ上で自分のノートをほかの子にシェアするような生徒もいて、こうした「気前のいい子」の元にさらなる情報が集まってきています。

知識や知恵もシェアする、「集合知」の時代に入ったことを実感しています。

違う絵を見ていたら話は平行線

理由 面倒くさい

人が動かない理由の二つ目は、「面倒くさい」というものです。

昨日と違うことをするのは「手間」がかかります。そこでつい、いろいろな理由を見つけて避けたくなりがちです。

あるとき心理学を学び、面倒と思う人は、自分とは「違う絵」を見ていることを知りました。

私はどちらかというとゴール志向で、

「もし、うまくいったとしたら生徒がどんなに喜ぶか」
という「ゴールの絵」が見えて気持ちが盛り上がります。

一方、、面倒と思う人がどんな絵を見ているかというと、ゴールまでのプロセスにある手間なのです。
「それでなくても忙しいのに、また新しい仕事が増える」などと。

違う絵を見ている人間同士が話しても、話は平行線です。そこで私は「同じ絵」を見る工夫をしました。

 

まず、相手の話をよく聞いて、相手が何を面倒と思っているのか理解することに努め、それをどうしたら減らせるかアイデアを出し合ったのです。
それと並行し、同じ絵を見てもらうために、こういう言い方をしました。

「もし、うまくいっちゃったらどうする?」
「As if(アズイフ)の質問」というゴールを見せる問いかけです。

教員の場合は、方法論が違っても共通の価値観として「生徒の笑顔が見たい」「生徒の成長がうれしい」というベースがありますから、これを共有しながら、同じ絵を見る努力をしていくことで、少しずつ変化が出てきました。