撮影:立木義浩
# AD special

タリスカーを飲ませていただけるなら、アップでも引きでもご自由に

タリスカー・ゴールデンアワー第10回(前編)

提供:MHD

通称「コミネ」、本名を小峯隆生という。コミネは東海大学工学部を卒業後、コンピューターの販売会社に就職したが、新宿ゴールデン街のバー「深夜プラス1」でわたしと出会ったことが縁で、「週刊プレイボーイ」編集部の辣腕助っ人になった。

そのコミネが3年前、講談社から『若者のすべて』という単行本を上梓した。この本は、フリーランスという立場から、週刊誌編集者としてどうのようにして一人前になっていったかを、克明に綴った傑作ノンフィクションである。これから編集者になろうとする者の、必読の書でもある。

コミネがはじめて編集部専用の原稿用紙に原稿を書いたとき、何が書いてあるのか誰も判読できなかった。それはなんと、縦に書くべきところを横に書いてしまったからであった。だが、日に日に頭角を現わして、コミネは強烈なキャラクターとして名を馳せた。いまでもときどき「週刊プレイボーイ」誌面で活躍している。

そしていま、コミネはもう一つの顔を持っている。驚くべきことに、2つの大学で講師として教壇に立っているのだ。この男がどうして象牙の塔に潜り込めたのかを知りたくて仕方がなくなり、今月のゲストとして呼ぶことにした。

(構成:島地勝彦、撮影:立木義浩)

* * *

コミネ: 立木先生、お久しぶりです!

立木: おお、コミネ、お前、まだ生きてたのか。

コミネ: はい、どうにかこうにか生きているであります。

立木: 今日はアップでいくのか? それとも引きがいいか?

コミネ: 立木先生、お願いしますよ。その件はもう勘弁してくださいよ。

シマジ: ここにいる講談社のヒノとわたし以外は、どうしてタッチャンがコミネをからかっているのか理解出来ないでしょう。そこで今日はコミネの名著『若者のすべて』を持参しました。ヒノ、この部分を声を出して読んでくれないか。そしたらボブも笑うはずです。

これは野坂昭如さんが田中角栄を向こうに回して選挙に打って出たとき、タッチャンに新潟まで撮影に行ってもらったときの実話です。

ヒノ: 〈 足元を固めながら、俺はある言葉を発しようと意を決めた。中村さん(週刊プレイボーイ編集者)から常々「ニューススクランブルでカメラマンさんと取材に行った時は、必ず言え」と言われていた言葉だ。

立木先生はアシスタントを引きつれてやってきた。俺は面と向かっては言えなかったので、靴の紐を結ぶふりしてしゃがみながら言った。

「立木先生、アップと引きは必ず押さえてくださいね」

その絵柄があれば、必ずニュースページはなんとかなったのだ。
俺はホッととして、外に出ようとした。しかしその瞬間、立木先生の怒号がそれを制した。

「コミネ!! おまえ誰に向かって言ってんだ!!」

すげぇー怒気が含まれていた。俺は弾かれたように、玄関の土間の上で土下座した。小学生の頃から親父に「おまえはなんでそんなにアホなんや!」と叱られ、殴られ続けてきた。バカなのは生まれつき。しかし、その叱責の過程で俺は世界一早く美しく土下座ができるようになっていた。

「す、すみません。いつも言えと中村さんから言われていることで、その、ついーーー」
「俺はおまえが生きている年月より長く、写真をやってるんだよ」
「申し訳ございません。ご自由にお撮りください」

「アップと引きはいらないんだな?」
「そ、それはその、あったほうが、よいではありますが――」

俺は恐る恐る頭を上げた。苦笑している立木先生がそこにいた。

「おまえは聞いたとおりのコミネだな」
「はっ?」
「島地から聞いた。そーとーなバカだとな。本当にバカだな」
「すみません」

「じゃ、いくぞ。コミネ、さっさと立ち上がれ」と立木先生。
俺は土下座から立ち上がり、その日の取材を開始した。 〉

シマジ: ヒノ、ありがとう。そこまででいいよ。

ボブ: アッハッハ。なるほど、そういうことだったんですね。

コミネ: ボブさん、今日はよろしくお願いいたします。

ボブ: こちらこそ、よろしくお願いいたします。

ヒノ: 昨年亡くなった原田隆さんが作られた本ですよね。『FRaU』『KING』の編集長を歴任され、書籍を作る部署に移ってからは、『甘い生活』『知る悲しみ』をはじめ、講談社から出ているシマジさんの著作をすべて原田さんが担当されました。

コミネ: はい。もちろん存じ上げております。原田さんには生前、大変お世話になりました。

シマジ: コミネの本が集英社じゃなく講談社から出たところが面白いよね。

ボブ: では、いつものようにタリスカー スパイシーハイボールで乾杯しましょう。

一同: スランジバー! タリスカー、ゴブラ!

コミネ: すげー! 仕事なのにマジでお酒が飲めるんですか。おっしゃれだなあ。ブラックペッパーが効いていて、オトナのハイボールですね。ガキにはわからない味です。

ボブ: 今日は特別にタリスカー30年をお持ちしました。島地先生と小峯さんのお付き合いは40年以上と伺いましたので、タリスカーの定番商品の中で最長酒齢のものをご用意しました。

コミネ: ますます凄いじゃないですか。この連載はいつもこんなかっこいいバーでやってるんですか?

ボブ: 今日は西麻布交差点近くにあるオーセンティックバー「ウォッカ トニック」さんにお邪魔しておりますが、お店に伺うのは2回目で、いつもは神保町にあるMHD本社のなかのバーで収録しています。今日は特別です。

コミネ: 特別だらけですね。光栄であります!

海が育んだシングルモルト スコッチウイスキー
タリスカー 30年(TALISKER 30 YEARS)

現行ラインナップ中で最も長熟のタリスカーです。非常に希少な原酒を年1回ボトリング。そのエレガントな香りはタリスカーであることを一瞬忘れさせますが、口に広がる味わいはまさにタリスカーそのもの。