Photo by iStock

「スマホ育児は子どもに悪影響」があまりに短絡的と言える理由

世代間連鎖を防ぐ子育て論(8)

「スマホに子守をさせないで」

最初にその光景を見たのは2年前くらいだったでしょうか、たしか昼下がりのJRの車内だったと思います。

通勤時間帯ではないので車内はかなり空いていましたが、車両の端にある優先席に、子どもをベビーカーに乗せて母親が座っています。ベビーカーを片手で前後に動かしながら、母親の視線はスマホに集中しています。

靴を履いているところを見ると、子どもはたぶん1歳半くらいでしょう。それにしてもあまりに子どもが静かなのでよく見たら、小型タブレットがベビーカーの手すりにくくり付けてあり、子どもは指で操作しながら画面に夢中になっていたのです。

このような光景は今では珍しくないでしょう。3歳を過ぎて言葉が多くなると、今度はタブレットで子どもといっしょにYouTubeを見ながら踊ったり歌ったりするママも多いといいます。

もちろん、忙しいときは、アニメやYouTubeを見せておくこともできます。このように、スマホやタブレットが生活に深く入り込む時代になっています。

それをスマホ育児と呼ぶひともいますが、事の是非を問う以前に、すでに現実が恐ろしい速度で変わっているということを認めざるを得ないのではないでしょうか。

遠い昔になりますが、私が高校生のころ、1960年代初頭には、「テレビに子守をさせないで」というキャンペーンが新聞や週刊誌をとおして広く浸透したことを思い出します。

それから約半世紀が過ぎ、2013年には日本小児科医会が「スマホに子守をさせないで!」というポスターをつくりました(http://www.jpa-web.org/dcms_media/other/smh_leaflet.pdf)。

 

子どもをあやすのにスマホを使うと親子の目と目の交流が妨げられる、親の関心がスマホにいくと子どもへの関心が薄れる、親子の直接交流が少なくなるといった影響に加えて、子どもの視力への悪影響も指摘されています。

さらに「メディア漬け」といった言葉を用いて、2歳までの子どもが電子機器に触れる時間が長くなる危険性や、ゲームや音楽といったメディアをめぐってルール作成の重要性も提言されています。

これに対しては反論も多かったようで、ワンオペ育児(母親一人で育児を担う)において、スマホでの育児情報獲得や仲間とのつながりまでも否定されるのか、母親に対して罪悪感を抱かせるのは逆効果ではないかなどといった意見も出されたようです。

「目と目の交流」が本当に妨げられるのかどうかは、もっと検証されなければならないでしょう。

ただ、これをアイ・コンタクトと呼べば、スマホ育児の問題とは別にとても重要なポイントです。これについては終わりのほうで触れたいと思います。