「アマゾンなしでは生きられない世界」で、人間は幸せになれるか

2022年を見据えたひとつの問い
週刊現代 プロフィール

配送も自前で行う

「アマゾンはショッピングだけではなく、人の暮らし全般に介在するようなサービスを手がけたいと思っているのではないでしょうか。

個人であれ、企業であれ、アマゾン抜きには成り立たない社会をつくる。それが彼らの最終目標なのかもしれません」(物流コンサルタント・千本隆司氏)

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現在、米国では、冒頭に紹介した「アマゾンエコー」が爆発的な人気を博している。

その理由は「話しかけるだけですべてが片付いてしまうから」だ。パソコンやスマホで注文するまでもない。これはアマゾンが「ユーザーエクスペリエンス」(操作の手軽さ)を追求した最たるものと言える。

「最近では『ダッシュ補充サービス』というものも始まっています。プリンターや洗濯機に消耗品の残量や使用期限を感知するセンサーが組み込まれており、インクや洗剤の残量が少なくなると、家電がアマゾンに自動注文するのです。

水や食料品をアマゾンから自動で補充する冷蔵庫も将来的には発売されるでしょう」(株式会社ニューズフロント特別研究員の小久保重信氏)

 

アマゾンのなかであらゆる消費活動が完結する。それと同時にアマゾン・プライム(日本の場合、年間3900円)による顧客の囲い込みはますます進み、アマゾン以外で買い物をするメリットはどんどん薄くなる。

「米国ではプライム会員費が年間約1万円と、日本より高額ですが、'17年10月時点で、米国のプライム会員数は9000万人に達したそうです。

これは米国人口の3.6人に一人がプライム会員になっている計算で、世帯数でみるとほぼ全世帯がアマゾンの会員であるとも言えます」(前出・小久保氏)

そこで蓄積された顧客の購入データとAIを掛け合わせ、アマゾンは「世界でただ一人のあなたのためだけ」のサービスを提供する。リアルタイムの行動に合わせて、音楽、映画、商品、服をアマゾン内から選び出し届けてくれるのだ。

一方で、アマゾンの利用者がますます増えることで、これまで以上に物流に負荷がかかることが予想される。流通事情に詳しいフロンティア・マネジメント代表取締役の松岡真宏氏が言う。

「現在、アマゾンはヤマトに宅配事業を委託していますが、増え続ける荷物を考えた場合、それを維持するのは不可能です(昨年アマゾンはヤマトから4割程度の値上げ要求を合意)。

それを改善するために最終的に、アマゾンは自前で物流を始めるかもしれません。アマゾンは世界14ヵ国で利用されていますが、実は自前の物流を持っていないのはアマゾンジャパンだけなのです。

具体的には駅や駐車場など、街の至る所に宅配BOXを設置して、そこに荷物を配送し、消費者は荷物を取りに行く生活スタイルになると思います。

こうすることで再配達のコストが無くなり自前で物流網を持つことができる。自宅まで配送してもらいたい場合は別途料金を払うことになるでしょう。客も宅配便を自宅で待つ時間がなくなるのでメリットがあります」