電通が有名ベンチャーに送った「謝罪文」を入手!一体なにが…

海外ビジネスを巡る「あるトラブル」
現代ビジネス編集部 プロフィール

「次の手を打たざるを得ない」

「現代ビジネス」は高岡会長に事実関係を確認するため、本人を直撃取材をした。戸惑いながらも、淡々とこちらの質問に答えた。

――電通が御社に宛てた「謝罪文」を入手した。前期の20億円の損失と電通子会社の一件の関係をどう考えているのか。

「どこでそんなことを聞かれたかは知りませんが、確かに謝罪文は存在しているし、トラブルがあるのは事実。当社はリオ五輪の前後にかけて大々的にマス広告を展開することを目指して準備を進めてきたのです。ここで計画通りの広告展開ができなかったのは、致命的でした。20億円の損失のうち、いくばくかはあちらの不手際によるものだと思っています」

――電通が示している誠意は「約0.73mio.USD」の未払い金の範囲内ということ。これに満足できるのか。

「当社のアメリカ事業への投資は30億円を超えている。またアメリカ事業での電通さんへの支払いは全部で6億円から8億円はあったと記憶している。その程度の話で満足できるはずはありませんよね。話し合うことがまだたくさんあると考えている」 

――損害賠償を請求する意思があるということか。

「今回は電通の海外子会社の不手際だったが、それを電通本社が認めて謝罪してきている。つまり、電通本社が子会社の瑕疵を明確に認めているということで、アメリカの弁護士からは『リーガル・イシューにすることは可能』という説明を受けています。ただ私は、訴訟は本意ではない。電通も仕事上の重要なパートナーでありますから、敵対するようなつもりはない。

しかしながら、私たちはこれまで電通にきちんとした対応を求めてきました。昨年(17年)の3月になってはじめて代表取締役専務が話し合いに応じて『誠意ある対応を考える』と話してくれたのですが、5月以降、話し合いはこう着状態。8月以降はメールを送っても返事がまったくなく、放置されている状況です。

電通さんにはもう一度、当社の損失と子会社の瑕疵との関係をしっかり検証して、こちらに誠意を見せてほしい。謝罪文一枚と、1億円程度で解決ができる話ではないと思っています。

今期は立ち直って過去最高の売り上げを記録し、15億円程度の利益を出すことができたが、それで忘れられるものではありません。もしもこのまま平行線をたどるようであれば、次の手を打たざるを得ないでしょう」

 

同社の関係者はこうも言う。

「エアウィーヴ社は他にも電通の紹介ではじめたFINA(国際水泳連盟)とのスポンサー契約を巡ってもトラブルに見舞われており、この交渉でも、窓口となっている電通は7月以降、仲介にほとんど関与しなくなったそうで、FINAとエアウィーヴの件はスポーツ仲裁裁判所で問題にされているという。このことにも高岡会長は不信感を募らせている」

編集部では一連の経緯を電通にも質したが、「個別取引に関することについては、回答を差し控えます」(広報部)とのことだった。

この「トラブル」が起こった時期である2016年12月期、電通の決算は過去最高益を記録している。かねてよりM&Aを重ねて注力してきた海外事業が業績をけん引したためだが、それだけに、好調の海外事業でトラブルを抱えていたことを示すこの文書は、彼らとしては「表ざたにしたくないもの」だったのだろう。

「謝罪文」は「一連の出来事について真摯に反省をし、今後とも良好な関係を維持発展させるべく精進を重ねるので、今後も変わらぬお引き立てをお願いしたい」と締めくくられていたが、このままでは「良好な関係の維持発展」は叶わないのではないか。