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留年も飛び級も当たり前!オランダの小学校が世界一といわれる理由

「落ちこぼれ」がいないんです

この子はつい先日、下の学年から飛び級してきたばかりなんです。ニューフェース同士、きっと仲良くできますよ」

6歳の時にオランダに移住した筆者の娘は、当初はオランダ語を話せない子供が通う「移民のための学校」に通い始めた。この学校で1年ほどかけてオランダの学校生活に必要な語彙を身に着け、一般的な小学校に転入していくことが期待されるシステムだ。

そこでのオランダ語習得を終え、満を持して地元の公立校に学年の途中から転入することになった娘を連れ、入学前のあいさつで編入クラスを訪れた時のこと。担任の教師が、クラスの中から一人の少女を特別に呼び寄せ娘に紹介したのだ。

金髪のオランダ人の女児と日本人である娘との間には、一見すると共通点は無い。何故その子だけ特別に紹介されたのかと訝しむ筆者と夫に、同席していた校長先生が冒頭の言葉で、その少女が飛び級してきたばかりの年下のクラスメイトなのだと教えてくれた。

我が家は転入早々、期せずしてオランダらしい自由なシステムに触れることになった。

日本では飛び級はない

前回、オランダの小学校の「教育費無料」について紹介した記事でも触れたが、オランダの小学校は「教育費無料」「学校における教育方針の自由」「学校における宗教・信条の自由」などが憲法で保証されている。そんな自由な国の小学校には、「飛び級」が存在しているのだ。

オランダの町中で。飛び級が多いのは小学生低学年だという。Photo by iStock

ちなみに日本では公立小学校で「飛び級」はない。「留年」もほとんどない。年齢を聞けば、学年がわかる。その学年の天才だろうが同じ学年の勉強をしなければならないし、習熟度が足りていない子も同じ年齢の学年にいなければならない。ついて行けない子が「特別支援学級」もしくは「特別支援校」に行くこともある。

飛び級がほとんどみられない日本では、15歳はほぼ100%中学3年生または高校一年生だが、世界には「年齢=学年」ではない国もある。筆者の住むオランダでは、15歳で(日本の高校までにあたる)単位をすべて取ってライデン大学に通い始めたという実例もある。長じてその少年はストックホルム大学で博士課程に進み、20歳で博士号を取得したそうだ。彼の博士号取得当時(2015年)は、スウェーデンで最年少の博士号取得者ですらあったという。

そんな事例も輩出したオランダの飛び級および留年の事情を詳しく見ていきたい。

約10%の小学生が飛び級を体験

教育文化科学省の資料によると、オランダの初等教育(幼稚園と小学校)では、約10%の生徒が在学中に飛び級を経験するのだという。ただしその後の中等教育では0.1%しか飛び級が生じないそうなので、学力のずれは早めに調整されているのだということが見て取れる。

近年では小学校で飛び級する生徒の数が増えていて、2010~2011年度には全生徒の7%が飛び級したのに対し、2015~2016年度には11.5%にまで上昇したという。

けれど、今まで慣れ親しんできたクラスメイトたちと離れることや、学習内容が変化することは子供にとってストレスにならないのだろうか。筆者は、記事冒頭で紹介した飛び級してきたクラスメイトの母親に、当時の彼女の様子を尋ねてみた。

 

飛び級のための細やかなケア

彼女が経験したのは、初等教育3年生(groep3)から4年生(groep4)への飛び級。ただしこの「3年生」は、教科としての勉強が始まる学年で、6歳前後の歳の子供が在籍している。2年生(groep2)までは幼稚園のような扱いなので、初等教育3年生は日本の小学校1年生に相当する。

母親曰く、女児は週に図書館の本を5~6冊も読む読書家少女なので、勉強面では元クラスメイトたちより進んでいたのだそう。そのせいか3年生時代は全く学校が楽しめず、退屈でストレスすら感じていたのだと教えてくれた。