成人の日の『東京新聞』にこんな記事があった。
『永星、進明、大幸、平永… 新成人に聞く「私の考える新元号」』(1月8日)
新しい元号には何がふさわしいと思うか、新成人に考えてもらったという。
「永星(えいせい)」は「星のように輝ける時代がずっと続いてほしい」、「進明(しんめい)」は「明るい未来に向かって進んでほしい」、ズバリ「安心」もあったという。成人の日らしく明るくのんびりとした記事である。
しかし新聞読み比べが好きな私にとって昨年来の「新元号」報道と言えば、のんびりどころか戦慄しっぱなしだったのだ。
そのピークは昨年12月1日に開かれた「皇室会議」前後。そこに週刊誌記事も加わり「え、え!?」の連続。とんでもない情報戦がおこなわれていたのである。
新年を迎え、「平成」は来年で幕を閉じることになる。ここで今までの「退位」「新元号」報道をまとめてみる。それは官邸と宮内庁の暗闘の歴史と言ってもよい。
最初のポイントは昨年11月22日。各紙そろって天皇陛下の「退位日程」について1面で報じたのだ。
毎日『退位日程に2案 19年3月31日と4月30日』
東京『天皇退位 2019年3月31日か4月30日』
朝日『退位日 19年3月末と4月末案検討』
読売『退位「19年4月末」有力』
産経『「31年5月1日」改元へ』
日経『天皇陛下19年4月末退位へ』
どうだろう、見出しの違いがわかるだろうか。
毎日、東京、朝日は「19年3月末退位と4月末退位」の2案を書いている。それに対し読売、産経、日経は「19年4月末退位(5月改元)」の1案でキッパリ。
ここでわかりやすい新聞の配置図を例えてみたい。
野球場に行くと、1塁側にはホームチームを応援する観客が多い。3塁側はビジターで、ホームチームとは距離を置く。見る場所によって、同じ試合でもまったく違う見方になる。
「安倍政権」という野球場でも同じだと見立ててみればよい。各紙の論調をみると安倍スタジアムの1塁側には読売新聞、産経新聞がいる。3塁側には朝日新聞、毎日新聞、東京新聞がいると思える。日経新聞は政治より景気を気にしているという意味で真ん中のバッグネット裏だろうか。
「ホーム」に近いのが読売と産経と考えると、両紙が伝える「退位は19年4月末、5月改元」が政権の希望なのだなぁと見えてくる。産経には《安倍晋三首相は統一地方選を考慮して5月1日を推す意向を示している。》とハッキリ書いてある。