消費税アップを前に、今年マンション市場に起きる「決定的な変化」

「駆け込み需要」の夢やいかに…
牧野 知弘 プロフィール

増税前の「駆け込み需要」はあるのか

都心部で用地を仕入れられない苦境のもとでも、担当者たちはノルマを抱えているため、やむを得ず土地代が安い郊外に向かうことになる。不動産関係者のあいだで「今年は郊外のマンション販売数が急増する」と言われている背景には、こうした流れがあるのだ。

しかし、この用地担当者たちの苦肉の策は果たしてうまくいくだろうか。都心志向に「逆行」してまでも、実需層が新築マンションを購入しようと思うだろうか。都心の中古マンションに対する人気は高まるように思うが、郊外の新築マンションに「駆け込み需要」が発生するとは考えにくいものがある。

ちなみに、前回の消費税増に際した「駆け込み需要」は、その翌年に大幅な供給減を招いた。不動産業界では、需要を先取りしたことによる「反動減」と見なされたが、実際にはその後もマンション供給戸数は減り続け、2016年には4万戸の大台を割り込んで3万5672戸となった。そうした状況からも、来年の消費増税がマンション業界の「干天の慈雨」となる可能性は低いと思われる。

逆に今年は、東京五輪開催が2年後に迫るなか、これまで投資用に買われていたマンションが「鞘(サヤ)取り」を目論んだ売却の対象となるケースが増えるだろう。その文脈で言うと、投資物件は湾岸部のタワーマンションなど比較的都心部に集中しているため、中古市場には都心の物件が数多く出回る年となるだろう。そうなると、郊外の新築マンションよりも都心部の中古を選択する実需層が増えるかもしれない。

マンション業界はこれまで、供給戸数をとにかく増やす「量的拡大」作戦を首尾一貫続けてきた。マンション売買はもともと利幅の大きなビジネスではないため、ある程度の量を確保することで経営を維持しなければならなかったからだ。

しかし、人口減少と高齢化が急激に進もうとするなか、もはや住宅に対する実需の拡大は期待できない。多くの人々にとって、住宅はすでに所与のものであり、新しい住宅を求めるどころか、親の残した実家や子どもたちが出ていったあとの自宅を持てあます時代である。自分たち家族が住むためだけに新たに家を買うのはもったいない。

 

「所有からシェアへ」元年に

最近では「シェアリング・エコノミー」の発想が、住宅についても芽生えてきている。建設費の際限ない高騰と間近に迫った消費増税の影響により、新築マイホームのようなステレオタイプ的発想に大変革がもたらされる年になるかもしれない。

たとえば「シェアハウス」は、学生や若い人たちが職業や国籍、性別などに関係なく、同じ家をシェアして暮らすスタイルだ。リビングルームや水回りなどは共用、入居者はそれぞれの部屋を専有し、互いに干渉することなく生活している。

このスタイルと発想は、欧米人などにとってはごく普通であって、最近話題の「民泊」もこの考え方に近いものだ。欧米ではバカンスシーズンになると何か月も家を空けることになるので、そのあいだ観光客などに自分の家を貸しだす。「自分たちは使わないのでどうぞシェアしてください」というわけだ。