2018年の安倍外交が始動した。安倍晋三首相は12日から17日まで、エストニア、ラトビア、リトアニア、ブルガリア、セルビア、ルーマニアの6ヵ国を歴訪中で、「どの国も日本の首相が訪問するのは初めて」と自負している。
それでは、2018年の中国外交は何を目指し、どういった展開になっていくのか――。
正月に北京を訪問した私は、「大国外交と一帯一路」「平衡と安定」「3年後の覇権」が、3大キーワードになってくると見ている。以下、順に見ていこう。
昨年10月に第19回中国共産党大会を成功させ、翌11月にドナルド・トランプ大統領の訪中を成功させたことから、習近平政権は、内政・外交ともに、かつてない自信を強めている。
まずは昨年の習近平外交から振り返ってみよう。
昨年、習近平主席は、次のような外交実績を上げたと総括している。
こうしたことから、前回2012年の第18回共産党大会で提起された「3つの自信」(中国の特色ある社会主義の路線・理論・制度に対する自信)を、一層強めている。そして2018年からは、「習近平新時代の大国外交」を前面に推し進めていこうとしている。
「習近平新時代の大国外交」のスローガンになっているのが、「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)である。これは、2013年秋に習近平主席が提起したもので、中国とヨーロッパを陸路と海路で結ぶという壮大な構想だ。具体的には、貿易・インフラ・資金・政策・人文の5分野で、中国が沿線約70ヵ国との協力関係を強めていくというものである。
「一帯一路」は、日本では、単に中国の経済政策と捉えている人も多いようだが、決してそうではない。アメリカを除くユーラシア大陸全体を、中国の影響下に置いていくという、多分に政治的な外交戦略である。国家戦略という観点から、中国国務院(中央官庁)では、財政部ではなく国家発展改革委員会に予算がついている。
「一帯一路」は、次のような多くのメリットをもたらすと、中国は考えている。
安倍政権も、今年からは「一帯一路」に、是々非々で協力していくとしている。これは主に、日本企業が中国企業と第三国の開発における協力を深めていくことを念頭に置いていると見られる。実際、そのことは日本経済の新たな発展のために重要だとは思うが、中国は「習近平共産党政権の勢力拡大」という大戦略のもとに歩を進めていることも、肝に銘じておくべきだろう。