「オリコン1位」はなぜ巨大な影響力を持つのか? 編集主幹が明かす

「本当の流行歌」が見えなくなった時代
柴 那典 プロフィール

「人間の対決」が注目を集める

オリコンというのは、創業時の社名でもあった「オリジナルコンフィデンス」の略称。コンフィデンスというのは、すなわち「信頼」という意味だ。

正確な売り上げ枚数の推定により信頼性あるチャートを作ってきたことが、オリコンの権威の源泉となった。

では、なぜレコードの売り上げ枚数のランキングが話題を呼び、社会的な影響力を持つようになったのか?

「シングルランキングはレコードの売り上げ枚数のランキングだから、一見すると『モノのランキング』に見えますよね。でも、実はこれって、『人間のランキング』なんですよ」

オリコンランキングは「人間のランキング」だから強いという〔PHOTO〕iStock

垂石はこう指摘する。

「やっぱり『人間のランキング』が一番興味を持たれるんです。たとえば、うちでも書籍のランキングをやっていますが、やっぱり音楽に比べるとなかなか話題にならない。それはあまり人間のランキングとして見られていないからです。

それに比べると、レコードやCDのランキングはそれを歌っている人の人気を並べたランキングになる。だからこそ、ランキングで1位になることに大きな意味がある。

それに、発売日が重なると熾烈な戦いになりますよね。たとえば80年代の松田聖子と中森明菜がそうだった。00年代の宇多田ヒカルと浜崎あゆみもそう。それらのランキングが注目を集めたのも、それが『人間の対決』だからなんですよね」

宇多田ヒカル〔PHOTO〕gettyimages

モノの売り上げの数値を並べることが、そのままスターの人気の指標になる。そのことは、オリコンの創業者である小池聰行が最初に持っていた発想でもあった。

小池聰行は同志社大学在学中に、あるきっかけで人気のメカニズムに興味を持つ。目に見えない人気というものを数値化しようというアイデア、それをビジネスにしようという発想が、オリコンのスタート地点になった。

 

「先代社長の小池聰行は、もともと京都の修学旅行生に、大学生のアルバイトとして名所の絵ハガキを売っていたことがあったんです。その時に『絵ハガキの売り上げって、ものによってえらい差があるな』と気づいた。

そこから人気というものを解明してみようと思い立った。その後いったんは就職しますが、人気解明への想いが強くなり独立し、会社を始めたんですね」

オリコンランキングは、そもそも絵ハガキ販売から発想が生まれたものだった。モノの売り上げを集計することで人気を数値化することこそが、その価値の根本にあったのだ。