“お騒がせ屋”のスティーブン・バノン前大統領首席戦略官が、ついにドナルド・トランプ大統領に対して白旗を掲げた。
同氏は1月9日、超保守系ニュースサイト「ブライトバート」会長を辞任した。というよりも、辞任に追い込まれたのである。
言うまでもなく事の発端は、ジャーナリストのマイケル・ウォルフ氏が上梓したトランプ政権の暴露本『炎と怒り』の刊行だった。
同書の矛先がトランプ・ファミリーの長女イバンカ大統領補佐官と娘婿ジャレッド・クシュナー大統領上席顧問夫妻にまで及んだことで、当然ながらトランプ大統領は怒り心頭に発し、発売日の5日、ウォルフ氏の情報源であるバノン氏をツイッターで「小汚い奴だ」と罵ったほどだ。
とくにバノン氏が語ったとされるイバンカ氏評の、
「ホワイトハウスのスタッフになった時、人々はすぐに彼女が大バカだと気づいた。世界の動き、政治が何かを全く理解していない」
に激怒、また「イバンカは次の大統領、初の女性大統領に野心を抱いている」については全くのウソであると断じた。
もちろん、トランプ氏の家族への批判・誹謗中傷に対する怒りは計り知れないものがあるが、実はそれ以上に大統領選勝利の立役者、政権運営のリーダー、そして政策ビジョンの持ち主が自分ではなくバノン氏であるというニュアンスが同書に散見されることへの怒りの方が大きいようだ。
要は、嫉妬から来る怒りである。