6「カロリー気にしてブラックコーヒー」はナンセンス

血糖値の乱高下は、メタボへの道。インスリンが中性脂肪を誘発するからだ。人は、カロリーよりも糖質摂取の失敗で太っていくのである。

ふわふわの白いパンは、血糖値を跳ね上げる。油脂と一緒に摂ったほうが、血糖値が上がりにくい。ということは、パンはバターを塗ったほうが太りにくいのである。

ブラックコーヒーは、満腹時に飲めば血糖値を上げるという。理にかなった魔法の飲み物だが、「カロリーを気にして、何もつけない食パンにブラックコーヒー」なんていう朝食を摂っているメタボ・マダムにとっては最悪だ。空腹時に飲むコーヒーは、ぜひ牛乳と一緒に。フランス人やイタリア人が朝食にカフェオレやカフェラテを飲むのには、意味があったのである。

白いご飯は、雑穀やもち麦と交ぜて、繊維質を加えるといい。ゴマやわかめを加えるのも〇。

7 やる気のないラジオ体操は脳にいい

網膜が暗さを感じたら出てくるメラトニンに対し、網膜に朝日が当たると出てくるのが、先にも述べたセロトニンである。
セロトニンは、脳を一気に活性化し、一日中のやる気を下支えする。一日の質を決定する大事な朝のホルモンだ。朝日の刺激で分泌するので、当然早起きは必須条件。

そのほかにも、「脳に信号が行き渡らないうちに(まだ目の覚めきらないうちに)、身体を動かし始める」と、その分泌量が数倍に増えるというデータもある。

してみると、あの夏休みの朝のラジオ体操。寝起きの、半分寝ているような状態で広場にやってきて、反射的に身体を動かす、あれ。やる気のない、ぷらんぷらんやる体操こそ、セロトニン分泌促進の離れ業だったのである(!)。


人工知能の研究者たちは、脳を装置として見立てる。どのような入力に対し、どのような演算を施し、どのような出力をしてくる装置か、と見立てる。

その脳という装置の性能がよくなるように育て、うまく作動するように暮らす。私が子育てで気をつけたのはそれだけ。
実のところ、脳は自ら育ちかたを知っていて、動かしかたも知っている。
それを邪魔しない、というのが最大のコツだった。
余計なことをしない、するべきことを絞る……とてもシンプルで、楽な子育て。しかも、このおかげで、私の脳もうまく作動するようになり、かなり助かったのである。

脳の性能をあげる手法は、どの年齢層の方にも参考にしていただける。
しかも、56歳までは、脳はまだ成長中。多くの大人たちが、まだ自らの脳育ての真っ最中なのである
というわけで脳育てのコツは、ぜひ母であるかた以外にも知っていただきたい。

脳は、性能さえあげておけば、よりよい道に導いてくれる。
スティーブ・ジョブズも、晩年の講演(2005年スタンフォード大学卒業式)で、「直感はなぜか、するべきことを知っている。直感に従え」と言っている。
そのこと自体は正しいが、直感に聞く前に、脳の性能をあげておかなければね。お試しください。

 
ベストセラーとなった『英雄の書』『女は覚悟を決めなさい』に続く、様々な切り口で「脳科学」を伝える「英雄三部作」最終冊。ご子息はこの本とともに社会に出ることになり、「本書は、私にとっては、子育ての卒業証書」だと記している。「脳科学から見た育児戦略」のノウハウは、本記事に掲載しているものはごく一部。子育てエッセイとしても、自分を育てるための読み物としてもぎっしりつまった一冊だ。