# 漫画

少年ジャンプを毎週端から端まで読み続けるとドキドキしてくる理由

まるで人生を眺めているよう
堀井 憲一郎 プロフィール

もうひとつ、2016年から連載が始まった『約束のネバーランド』もとても面白い。

ただこちらは、少し絵が開ききっていないように見える。

これまた異世界もので、鬼に食べられないよう子供たちが逃げる話なのだが(バカみたいな説明だけど、でもこれが怖くてとても面白い)、たとえば「鬼」がよくわからない。ここのところ繰り返し鬼が出てきているのだが、鬼がどういうものなのか、わざとでもあるんだろうけど、くっきりとは描かれていない。

真似して描こうという気持ちをあまり起こさせない絵なのだ。それが開かれてないように感じる。

約束のネバーランド母と慕う彼女は親ではない。共に暮らす彼らは兄弟ではない。エマ・ノーマン・レイの三人はこの小さな孤児院で幸せな毎日を送っていた。しかし、彼らの日常はある日突然終わりを告げた。真実を知った彼らを待つ運命とは…!?

ただ、すごく面白い漫画だ。ストーリーが超絶おもしろい、ということだろう。

設定が素晴らしく、展開もついぞ息抜くタイミングがなく、ずっと面白い。緊張が続いている。そのうち面白くなくなるんじゃないか、と読み始めたときから心配していたが、1年を越えてずっと面白い。ちょっとない漫画である。

考えてみると、『Dr.STONE』も『約束のネバーランド』もどちらも異世界ものではあるが、主人公たちは「ふつうの人間」である。触ったものを凍らせる力はなく、黒魔法や傀儡を操ることもなく、幽霊と一緒に風呂に入ることもない。過酷な状況に放り込まれた人間が、自分の知恵と努力によって切り抜けようという物語である。

それがいまの時代には受けている。

『ハイキュー!』の場合

開いてる閉じてるという視点で言えば、人気のバレーボール漫画『ハイキュー!』は、いま、かなり閉じているようにおもう。少なくとも、ここのところはそうだ。

 

2017年から春高バレー戦に入り、試合の描写が続いている。たぶん私が読み出してから、ずっと同じ高校(稲荷崎高校)と戦っているようにおもう。

進みが遅いから、キャラクターがほとんどつかめず、展開も把握できず、毎週読んでいるにもかかわらず、烏野高校と稲荷崎高校と、えーと、どっちが主人公側だったっけか、とわからなくなる瞬間もあった。

敵チーム(稲荷崎が敵です)の選手心情にも深く踏み込んで描いているからわからなくなるわけで、そのへんは素晴らしいといえば素晴らしい。

そのぶん、この試合が始まってから読み出した者は、もともとも烏野高校のキャラがわかってないので稲荷崎高のほうばかり詳しくなって、何だかよくわからなくなっていった。

この漫画が閉じられているということではなく、たまたま「春高バレー熱戦の時期」だったので、閉じられていたということだろう。

ハイキュー!

そもそも連載も長く(まもなく丸6年)人気も高く、この漫画の人気ゆえに中学高校でのバレーボール部入部者が増えたとの噂があるくらいの作品である。連載当初は広く開かれ、読者をどんどん取り込んでいったはずで、たまたま私の読み始めた時期が、少しハードルが高かったようだ。

漫画の絵でいうなら、『Dr.STONE』以外だと、『食戟のソーマ』『ゆらぎ荘の幽奈さん』は開いていて、多くの人が感情を共有できそうな絵だとおもう。