# 漫画

少年ジャンプを毎週端から端まで読み続けるとドキドキしてくる理由

まるで人生を眺めているよう
堀井 憲一郎 プロフィール

「開かれている絵」と「開かれていない絵」

雑誌に乗っている漫画は、常に「途中から読まれるもの」である覚悟がないといけない。途中から入ろうとする読者を拒否してしまっては元も子もない。

ただ、それでも、いきなり途中から読み出してもすぐに馴染める漫画と、なかなかその世界に入っていけない漫画がある。ずいぶんと差がある。ジャンプ全漫画を読んで、ひさびさにそれを実感した。

いくつかの要因がある。

おそらく連載回数の問題、世界設定の違い、それに絵の力など、そのあたりの複合的な要素によるものだろう。

連載回数というのは、お話が始まってまだ間もない漫画には入りやすい、ということだ。当然のことながら、スタートしてそんなに時間が経ってなければ、旅でも漫画でも、先行者に追いつきやすい。

世界設定とは、つまり「ふつうの人間の物語」か「異世界の物語」か、などの違いである。

ふつうの人間世界の物語は、スポーツものか、恋愛ものが多い。それ以外はだいたい異世界ものとなっている。異世界が大流行している。

人類がほぼ死滅した未来世界や、鬼に食われる世界、鬼と戦う世界、魔法使いばかりの世界、忍者の世界、異能力者海賊と海軍の世界。そういう異世界でのお話である。

登場人物も、ふつうの人間ではなく、魔法が使えたり、手がゴムのように伸びたり、超能力が使えたり、特殊能力があったり、そもそも人間でなかったり、いろいろだ。

途中から読むと、その異世界ぶりや、特殊能力についていちいち細かく説明してくれないので、そこが障壁になる。

ただ、同じ「よくわからない異世界もの」でも、最初からぐいぐい引っ張られるものと、なかなか入れないものがある。

これはおそらく「絵」の問題だ。

 

途中から読みだす読者にとって大事なのは何より「絵の力」だとおもう。

漫画の絵にはどうやら「開かれている絵」と「あまり開かれていない絵」があるようだ。

「上手い×下手」ではない。「開かれている×開かれてない」である。

「作者の注ぎ込んでいる情報」を読み取りやすいのが開かれている絵で、すぐに読み取れない(何度か戻って見返しまう)作品が開かれていない絵である。

そういう差が漫画にはある。

たぶん作者の人間性というか、心構えというか、ものつくりの姿勢として、どういうものを人に届けたいかという基本のところが出てくるからだろう。

絵はとても大きなポイントである。

大注目の異世界もの

いまジャンプに連載している漫画で「とても開かれた絵」で描かれていて、おもしろいとおもう作品は『Dr.STONE(ドクターストーン)』である。

途中から読み出したからその設定はきちんとわかってないんだが、いまとはまったく違う地球世界(未来の原始世界らしい)が舞台で、主人公の現代の科学知識で世界を変えていく話である。めたくた面白い。

Dr.STONE一瞬にして世界中すべての人間が石と化す、謎の現象に巻き込まれた高校生の大樹。数千年後──。目覚めた大樹とその友・千空はゼロから文明を作ることを決意する!! 空前絶後のSFサバイバル冒険譚

連載開始して間もないころから読み始めたので、それですっと入っていけるというのもあったのだろうが、しかしかなり「開かれた漫画」だとおもう。広く支持され人気である。早くアニメになって欲しい。