中国「大物政治家」のスキャンダルを暴露し続けた大富豪の狙い

民主化の星か、中国版籠池氏か…
安田 峰俊 プロフィール

”ハメ撮り”写真捏造大富豪の真偽は?

――まず、楊建利さんと郭文貴さんの関係について、日本の読者にご説明をお願いいたします。

楊:私が郭さんと最初に会ったのは今年3月です。出身地(山東省)を同じくすることもあって、まずまず親しく付き合っています。友人と言っていいでしょう。

――わかりました。では、中国民主化運動の活動家として、あなたは郭文貴さんの「爆料」(暴露行為)をどう評価しますか?

楊:肯定的に評価しています。彼の「爆料」(暴露)は、民衆に対して中国共産党政権の腐敗を、あらためて具体的に認識させたという点で、中国が真の法治と民主化に向けて進むために非常に大きな貢献を果たしていると思います。

なにより、TwitterやYoutubeを使って、世界中に広く公開している点がすごい。ネットユーザーと直接の交流をおこないながら、中国当局の腐敗の実情を明らかにしているのですから。

 

――郭文貴さんに対して懐疑的な姿勢を持つ人も少なくありません。その言動に虚実が入り混じっているとされるためです。これついてはどう思いますか?

楊:郭さんについては影響力の大きさを評価するべきでしょう。彼の言っていることがすべてが本当かはわかりません。それは誰にもわからないのですが、むしろ私は個々の事実性の認定よりも影響力を重視したい。郭さんの言論活動は世界から注目され、なによりも中国共産党から恐れられていることは紛れもない事実ですから。

中国国内で政争に破れ、海外に亡命した元体制内の人間は数多くいます。しかし、郭さんのようなことは誰もしてこなかった。薄瓜瓜(2011年に失脚した重慶市トップ・薄煕来の息子)も令完成(2014年に失脚した胡錦濤の元腹心・令計画の弟)もできなかったことを、彼はやっているのです。

――しかし、郭文貴さんの「爆料」には明らかなフェイク・ニュースも混じっているようです。例えば習近平の腹心で元党中央規律検査委書記の王岐山が、美人女優の范冰冰(ファン・ビンビン)とベッドを共にしている……というような。

楊:その事実関係は誰にもわからないが、私たちの中国当局に対する(腐敗しているという)認識に合致する話ではあるでしょう。実際に王岐山が范冰冰と寝ていたって何もおかしくありません。中国共産党の上層部は、そのくらいの権力を持ち、腐敗しているのは確かなのですから。

※郭文貴がTwitter上で暴露した、王岐山と「オーストラリアの××」(有名女優・范冰冰を指すと思われる)のベッド上でのハメ撮り写真。だが、ネットユーザーによって映画の1シーンを切り取ってコラージュしたものであると指摘されている。

―うーむ……。それはそうなんですが。

楊:なにより、郭さんが個人の立場で、強大な中国共産党に対抗していることを忘れてはならないでしょう。郭さんは彼の財産権と、彼自身や家族の生命の安全を侵害されている事実に対して、勇気を持って自分自身の「維権」(権利の保全)のために戦っている。自分を犠牲にして、「爆料」をおこなっているんです。