不時着したものと同シリーズのAH1攻撃ヘリ(Photo by gettyimages)

新年早々ヘリが2回も不時着…米軍の驚くべき「戦力ダウン」

これは本土でも起こりうる問題だ

目を覆いたくなる状況

沖縄で米海兵隊ヘリコプターによるトラブルが相次いでいる。

新年になってからでも、1月6日、うるま市の伊計島の砂浜にUH1汎用ヘリが不時着し、2日後の8日にはAH1攻撃ヘリが読谷村の廃棄物処分場に不時着した。昨年12月13日には宜野湾市の普天間第二小の児童がいる校庭に、CH53大型ヘリが窓枠を落下させている。

伊計島では1年前の昨年1月20日、農道にAH1ヘリが不時着しており、今回の不時着を受けて富川盛武副知事は「言葉がない。米軍内のシステムの問題ではないか」と憤った。

一昨年12月13日には垂直離着陸機「オスプレイ」が名護市の東海岸沖合に不時着し、大破している。共通するのは、いずれも米海兵隊普天間基地所属の機体ということである。

在日米軍でトラブルが続くのは、沖縄の海兵隊に所属する航空機だけではない。イージス艦でも事故が多発しているのだ。

昨年6月16日には、米海軍横須賀基地を事実上の母港とする第7艦隊所属のイージス駆逐艦「フィッツジェラルド」が伊豆半島沖でコンテナ船と衝突し、乗員7人が死亡。8月21日には同型の「ジョン・S・マケイン」がシンガポール沖のマラッカ海峡でリベリア船籍のタンカーと衝突し、乗員10人が死亡した。

タンカーと衝突し、船体に穴が空いたイージス艦「ジョン・S・マケイン」(Photo by gettyimages)

米海軍は昨年11月、2隻のイージス駆逐艦による衝突事故について調査報告書を公表している。海軍トップのリチャードソン作戦部長(海軍大将)は「どちらの事故も回避可能だった。多くのミスが事故の原因となった」と指摘した。

直接の原因は「人為ミス」としても、報告書は伊豆半島沖の事故に関して「当直の乗組員はレーダーを扱う基本的な知識を持たず、他の船の位置を正確に把握できなかった」「見張り役は左舷のみを監視しており、右舷からの接近を察知できなかった。さらに他の船舶と連絡を取ったり、警笛を鳴らしたりする措置も怠った」と断じており、乗員はまるでシロウトである。

またシンガポール沖の事故については「乗組員間の意思疎通ミスから舵取りを間違え、艦が本来進んではいけなかった左方に転回した」「上官が速度を落とすように命じたが、乗組員が二つあるプロペラシャフトのうち一つしか操作しなかったことから、艦はさらに左方に進みタンカーの進路に入って衝突した」としており、こちらも目を覆いたくなるほどのシロウトっぷりである。

 

予算不足がもたらす惨状

乗員がシロウト同然なのは、訓練が不足しているからに他ならない。その理由に関連して、米軍事専門紙「ディフェンス・ニュース」(2017年2月6日インターネット版)は「予算不足による米海軍の惨状」を伝えている。

同紙は「米国防費の予算不足から、空母を含め約300隻ある米海軍艦艇が次々に稼働できない状態になっており、すでに原潜1隻が任務に就く資格を失い、年内にはさらに5隻が任務不能になる見通し」と報じた。

さらに「航空機約1700機の53%は飛行不能に陥り、なかでもFA18戦闘攻撃機は62%が稼働していない。艦艇、航空機とも修理ができず、部品供給も滞っていることが原因」と伝えた。

米海軍のモーラン副作戦部長(海軍大将)は同月7日、米下院軍事委員会で「ディフェンス・ニュース」の報道内容を認め、「予算不足により2001年から15年までの間に海軍の戦闘力は14%減少した」と驚くべき戦力ダウンぶりを明らかにしている。

国防費が不足して部品供給が滞れば、訓練が満足にできなくなるのは自明だろう。