日本人の底力は、人口爆発大陸アフリカでこそ問われる

中国・インドに大きく遅れをとる現実
白戸 圭一 プロフィール

日本企業の出遅れは日本の問題

このようにアフリカ経済の脆弱な側面について書いていくと、「アフリカはまだまだビジネスができるような場所ではない」と思う読者がいるかもしれない。

筆者は仕事柄、日本の大手企業の幹部の声を耳にする機会が多いが、日本の大手企業の主流はアフリカでのビジネス展開に消極的と言っても差支えない。

問題は、日本企業の消極性を尻目に、他の主要国や新興国の企業が現在、続々とアフリカに進出していることだ。

日本のアフリカ向け投資は過去10年で10倍に増えたものの、直接投資残高はいまだ100億ドル台にあり、500億ドルを超えている米英仏には遠く及ばず、300~400億ドルと推定される中国にも及ばない。

伝統的にアフリカとの結びつきが強い欧米企業や、今世紀に入ってアフリカ開発の主役の座に躍り出た中国企業、さらにはインドやUAEなどの企業と比べて、日本企業の「出遅れ感」は否めない。

〔PHOTO〕gettyimages

筆者が講演会などでアフリカ経済の躍進ぶりについて話すと、「インフラも整備されておらず、農業も製造業も低い水準にあるアフリカへの企業の進出など不可能ではないか」という意見をいただくことがある。

主観の域を出ない話であることを断っておくが、いわゆる一流大学を卒業し、大手企業のサラリーマンとして、そこそこ「成功」した50~60代の男性に、この手の発想の持ち主が多いと感じている。

世代で言えば、戦後日本経済を土台から作って発展させた世代ではなく、既に十分に強くなった日本経済を前提に、バブル経済の恩恵も十分に享受した世代である。

アフリカへの投資が困難なことは、言うまでもない。アフリカは発電所と送電網の不足で停電が頻発し、進出企業はしばしば自家発電を強いられる。道路網は未整備で、資材や商品の運搬にはしばしば膨大な時間とコストがかかる。

アフリカ・ビジネスに多くのリスクが伴うことは否定しようがない。

 

だが、アフリカでのビジネスを決断した企業人を見ていると、いつも感心することがある。

そうした企業人は「インフラがない土地でビジネスはできない」と考えるのではなく、「インフラが存在しないのは、むしろ新たなインフラ建設のチャンス」という発想をするのだ。現状の何らかの不足や欠如を「チャンス」と捉えることができる人々なのである。

2016年8月にケニアのナイロビで開催された日本政府主催の第6回アフリカ開発会議(TICAD Ⅵ)に合わせて放映されたNHKのインタビューで、高い経済成長を遂げているルワンダのカガメ大統領が「日本はアフリカへの投資を拡大し、協力関係を強化することをためらっているようだ」と話していたのが印象的だった。

世界各国の様々な企業が悪戦苦闘しながらアフリカ・ビジネスに挑んでいる様子を見ていると、アフリカにおける日本企業の出遅れは「アフリカの問題ではなく日本企業の側の問題」と思うことがある。

日本企業のアフリカへの「出遅れ」が、日本人が世界で戦う力の衰弱を象徴しているのだとしたら、問題は深刻である。

その意味で、「最後のフロンティア」と呼ばれるアフリカは、われわれ現代日本人のサバイバビリティ(生存能力)を測るリトマス試験紙としての重大な役割を果たしているように思うことがある。