元自衛艦隊司令官が警告「米朝戦争、空爆はこの時期に実行される」

そのとき、在韓邦人は…
香田 洋二

特殊部隊の上陸を阻止せよ

第2のリスクは、北朝鮮から日本本土に飛んでくるミサイルです。

これは周知のように、洋上のイージス艦と、地上のPAC3の2段構えで迎撃します。さらに、昨年末に閣議決定しましたが、'23年度までにイージス・アショアを地上に2基配備し、3段構えの迎撃態勢にします。

私は海上自衛隊出身なのでよく分かっていますが、イージス艦が洋上で一年365日、北朝鮮を見張るというのは、本来の海上作戦ではありません。1隻で60日の任務が限界だし、これによって他の任務に支障が出ます。

Photo by GettyImages PAC3

そのためにも、地上にイージス・アショアを配備することは、理にかなっているのです。

イージス・アショアの配備まで、あと5年も待てないのではという声もあるでしょう。その意見はもっともですが、私は現実的に見た時、北朝鮮のミサイルが日本列島に落ちる確率は、極めて低いと思っています。

それは、北朝鮮が日本へ向けてミサイルを発射することは、金正恩政権にとって意味がないからです。

日本各地に米軍基地がありますが、もし北朝鮮が在日米軍基地にミサイルを撃ち込めば、その時点でアメリカは北朝鮮に対する全面戦争に打って出ます。

そうなれば、金正恩政権は崩壊するわけで、そのような自爆行為を、金正恩委員長が決断するとは思えません。

 

昨年夏、北朝鮮メディアが「日本の本土を狙っている」と恫喝したのは、心理戦の要素が強いのです。つまり、日本を恫喝することによって、日本国内で反戦ムードを高め、同盟国アメリカの攻撃に反対するよう仕向けるという作戦です。

第3のリスクは、日本に押し寄せる難民船です。昨年末、何十隻もの北朝鮮漁船が日本海沿岸に漂着し、大きな社会問題となりました。

有事の際に押し寄せてくる難民船には、2種類のリスクがあります。一つは純粋な難民の問題で、警戒すべきは難民がもたらす犯罪や疫病です。

もう一つは、難民に紛れて、朝鮮人民軍の特殊部隊が日本に上陸してくることです。彼らは化学兵器や生物兵器を保持しているかもしれない。

そのため、自衛隊と海上保安庁が協力して、まずは難民船を救助するとして洋上に留め置き、徹底した検査を行うことが大事です。その上で、純粋な難民だけを上陸させ、一時的に収容する。

ともあれ、有事の際に日本人の生命と安全を守るのは、アメリカ軍ではなく自衛隊です。自衛隊は全力を尽くして任務にあたります。

重ねて言いますが、今年はアメリカ軍が北朝鮮を空襲する朝鮮有事の年になります。

誰も有事は望みませんが、このまま北朝鮮を放置しておくと、日本も含めた世界に大禍をもたらす。そうした現実を、われわれは理解しておくべきです。

香田洋二(こうだ・ようじ)
1949年徳島生まれ。防衛大卒業後、海上自衛隊入隊。自衛艦隊司令官を経て'08年退官。新著『北朝鮮がアメリカと戦争する日』が話題に

「週刊現代」2018年1月20日号より