小泉進次郎が今年から新聞を読むのをやめた理由

テレビが報じない「36歳のメディア論」
常井 健一 プロフィール

いつか「仕返し」されるのでは?

――10年前って、今の自分の姿が想像ついていましたか。(テレビ局関係者の質問)

進:想像がつくわけ、ないじゃないですか。10年前は政治家になっていないですよ。あの頃は世襲批判でクソミソでしたよ。その時の経験が、今みたいな発言につながるんですよ。良い時に祭り上げられる時の映像は、将来叩き落される時に使われるんです。それを痛感したのが、10年前でした。だから、一喜一憂はしなくなりますよ。よく報じてもらえる時は、叩きつぶされる時のスタートだなと思っています。

――そんなにマスメディアを挑発し続けて、いつか仕返しされる、潰されるという恐れはないですか。

進:メディアにかかわる人たちは、「メディア自体が権力だ」ということを自覚していない人が多いと思います。よくメディアの役割は権力の監視とチェックだと言うけど、じゃあ、そのメディアそのものは権力じゃないんですか。

メディアってすごい権力ですよ。人を潰せますよ。誤解なく言わせてもらえば、人を殺せますよ。社会的に、政治的に。そのことを自覚していないのか、自覚をしていないふりをしているほうが都合いいからそうしているのか。どちらかはわかりませんけど、メディアって恐ろしい生き物ですよ。

一度、空気が作られたら、嵐が過ぎ去るのを待つしかない。あの空気の作り方はスゴイ。怖いですよ。それに対する恐れがないと政治の世界では生きていけない。だって、できますもん、メディアが「コイツを潰そう」と思ったら。

――小泉さんにはメディアの権力さえも凌駕する国民的な人気があるという自覚はありませんか。

進:人気だって、メディアが作れるし。そういった意味でね、報道にはすごく冷めているんですよ。だって、あれだけ世襲批判で叩かれた後に、ある週刊誌に「世襲こそ革新を生む」という特集(「AERA」 2014年6月2日増大号)があった。それを見た時、椅子から転げ落ちそうになりましたよ。

――最近のご自分の報じられ方について、なにか思うことはありますか。

進:うーん。

(13秒間、沈黙)

予想しない角度からの質問が、あまりないですよね。たぶん、みなさん(報道陣)もわかっているだろうけど、恒例行事だから聞いておこうか、という。さっきあった(9月に予定されている)自民党総裁選についての質問もそうでしょう。それを(政治家も報道陣も)お互いわかって、腹芸をやっている。「言わなくても、わかっているでしょ」と思うのに、「わかっていますけど、一応……」と言って聞いてくる。正直言って、そういう感覚に対しての冷めている部分というのはあります。

――「週刊文春」新年特大号で、ジャーナリストの池上彰さんが作家の佐藤優さんとの対談の中で、「小泉進次郎も持ち上げられすぎの傾向ですね。(中略)ヨイショ合戦のようになってきている。これは民主主義の上で望ましくない状況です」と、マスメディアに警鐘を鳴らしていました。ご自分の「ヨイショ報道」をどう思いますか。

進:それは、ボクにはどうしようもないですよね。ボクがそういうふうにしてくれと言っているわけではないんだから。

(11秒間、沈黙)

いっぱい考えることはありますよ。

(13秒間、沈黙)

――本当はいっぱい言いたいこと、ありそうですね。

むしろ、テレビ番組でやってほしいですよ。作っている人たちの本音を、ね。本当に作りたくて、それをやっていますか(と聞きたい)。結局は、視聴率でしょう。今の時代は一分一秒で視聴率が出るじゃないですか。それで、誰を出せばどれくらい取れる、スポンサーも決まる。それに引っ張られている。それが、視聴者の求めることかと言われれば、ズレているんじゃないですか。

こういうことを語ると、みんな、遠い目をしちゃうよね。

――テレビでは使えない「素材」ばかりを引き出してしまいました。

進:そうでしょ。そういうのが、ボクにとっては一番有益なぶら下がり取材です。使われる素材なんて、自分には興味ないから。