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大手デベロッパーはなぜ「オフィスビル」ばかり建て続けるのか

「仕事は自宅でする時代」になるのに

自分で自分のクビを絞める

ITやAIの進化が大手デベロッパーの息の根を止めるかもしれない。作家の楡周平氏が先行きをこう見通す。

「これからオフィス需要自体が低下していきます。かつてゴールドマン・サックスには600人のトレーダーがいましたが、AIが取って代わっていまやたった2人です。

日本でも昨年、メガバンクが大規模な業務削減を発表しましたが、同時に支店の閉鎖も進められる。その多くは賃貸物件ですから、不動産会社の収益源がなくなっていく」

 

オフィスに出社して仕事をする必要は年々薄れている。ネット回線が整備され、スマホやPCでどこにいても仕事ができるようになった。

かつてのようにデスクで電話をしたり、資料を読んだりしなくても、仕事は十分にできる。これからの時代、会社が従業員のためにオフィスを確保することはナンセンスだ。

「企業は今後、従業員の在宅での勤務を目指すようになるでしょうし、リアル店舗もネット通販に駆逐され、テナントも集まらなくなる。

自社の人的資源、資金を使えば何ができるのかを考え、新分野の事業に乗り出しでもしなければ、デベロッパーの将来は厳しいでしょう。少なくとも、現在のビジネスモデルが限界にきているのは間違いないと思います」(楡氏)

今年も「東京ミッドタウン日比谷」(三井不動産)、「渋谷ストリーム」(東急電鉄)、「新虎通りCORE」(森ビル)といった大型のオフィスビルの開業が予定されていて、すでにテナントは埋まっているという。

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企業が次々と新しいオフィスビルに移転していく。その結果、旧来のビルは空き、賃料を下げなければ、埋まらなくなる。大手デベロッパーは新しいビルを建てて賃料を稼ごうとする一方で、従来の賃料を失う。自分で自分のクビを絞めている構図だ。