世田谷・練馬が危ない!「2022年問題」で大暴落するのはこの地域

「生産緑地法解除」の影響をご存じか
週刊現代 プロフィール

「緑が多い」のがマイナスに

当事者にとっては切実な問題だが、我先にと農家が売却を急ぎ、ハウスメーカーがどんどん住宅を建てていけば、過剰に物件が供給され、市場はさらに飽和する。

相続に関する専門家集団「アレース・ファミリーオフィス」代表の江幡吉昭氏が言う。

「今後、税金が宅地並みになるとわかれば、生産緑地に指定されている農家が、先を争って売却に動き出すことも考えられます。

東京23区内で生産緑地が多いのは練馬区(189ha)、世田谷区(95ha)、江戸川区(64ha)ですが、こうした場所で建売住宅やアパートが大量供給されると、一気に地価が下がるリスクがあります」

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高級住宅地として知られる地域も、生産緑地問題と相まって、不動産価格が下落することは避けられないという。

「たとえば成城学園は田園調布と並ぶ高級住宅街ですが、近年は高齢者と子供の街になっています。働き盛りの富裕層が住みたい街ではなくなりつつある。そうなると街に活気がなくなります。世田谷区の住宅地は駅から離れた場所も少なくありません。

現役の資産家は忙しく、職住近接へのこだわりが強い。相続などでまとまった土地が出ても買い手がつかず、価格が大きく下落するリスクがあります。そこに生産緑地問題という不安材料が重なれば、地価の下落圧力が強まるのは間違いないでしょう。

世田谷区と大田区にまたがる田園調布エリアも同様です。今の現役世代は不動産に同じ金額を出すのなら、維持が面倒な戸建てよりも都心の高級マンションの利便性を取る傾向があります。

消費者のニーズに合わなくなった高級住宅地のブランドが曲がり角に直面しているのは間違いない」(江幡氏)

 

地価下落に見舞われるのは、世田谷区だけではない。住宅地として人気の高いエリアの不動産価格が下がると、その周辺にも影響を及ぼす。

「世田谷区の不動産価格が大きく下がれば、新しく住人が移ってきますから、その周辺の杉並区や調布市などの地価も下がって、負のスパイラルに陥りかねません。

こうした地域に不動産を所有している人で、売却を検討しているのなら、本気で準備を始めたほうがいいでしょう」(住宅ジャーナリスト・山下和之氏)

東京以外の大都市でも問題は深刻だ。神奈川県横浜市は307ha、大阪府堺市は169ha、愛知県名古屋市は275haの生産緑地を抱え、この3市だけでも実に東京ドーム160個分に及ぶ。

緑が豊富で住みやすいと思われてきた環境ほど生産緑地が多く、それが宅地に転換されることで地価大暴落の引き金となる。

前出の烏山の男性は、「都心に近いにもかかわらず、緑が多いということで地域のイメージも資産価値も上がっていると思うのですが、このままでは農地を売却せざるを得ない。住みやすい住宅地が、今後はただの殺風景な住宅街になってしまうのではないか」と心配する。

それでも住民がいればまだいいほうだろう。行政が何もしなければ、無人のアパートが密集するだけの「悪夢」のような光景が生まれかねない。

「週刊現代」2018年1月20日号より