新規上場マーケットを振り返ると見える「2017年日本経済の姿」

今年は2年ぶりに増加
田中 博文 プロフィール

申請期売上高50億円以上で半数以上

【売上高 経常利益】

売上高については、大きな変化がありました。従来は売上高50億円未満が半数以上だったのが、2017年は売上高50億円以上で49社と、発行体の大型化の兆しが見えてきました。特に大きく増加したのは、売上高100億円~500億円が2016年の11社から20社とほぼ倍増、また売上高1000億円~5000億円が2社から4社となり、2016年は無かった5000億円以上も1社出ました。

一番売上高が小さいのは、悪性腫瘍に係る医薬品・医療機器の開発・販売を行っているソレイジア・ファーマの4億2300万円、一番大きいのは佐川急便を運営するSGホールディングスの1兆円でした。

 

一方で経常利益も大きな動きがありました。2016年に続き、経常利益5億未満が50社と半数以上ではありますが、一方で、5億円以上の社数も増加して来ています。特に10億円~50億円の社数が14社から19社と5社増加しました。一番利益が小さかったのは、ソレイジア・ファーマの経常赤字17億8700万円。一方で経常利益が一番大きかったのはやはりSGホールディングスの600億円でした。

2016年との比較ですが、全体で7社の増加数を考慮する必要はありますが、2017年は利益のレンジが全体的に右寄りになり、利益の増加傾向が見られます。明らかに企業業績が伸長している証左と思われます。また、赤字会社が上場して来たのも、株式市場の環境が良いため、成長性が確認できるなら、赤字でも上場しようとの判断だったと思われます。

禁煙は申請期売上高 50億円程度、経常利益は1億円以上5億円未満という発行体のイメージでしたが、アベノミクスの恩恵を受けて、新規上場する発行体の業績自体が良くなって来ている印象です。少し転換点かもしれません。

予想PERの平均は2016年の16.4倍から18.7倍へ

【予想PER】
 

次に公開価格(※初値ではない)による予想PERですが、PERが一番高かったのは、インターネットメディアの広告収益最大化プラットフォーム「GenieeSSP」を主軸としたアドテクノロジー事業のジーニーの470倍、次に高いのが機械学習技術等を利用したアルゴリズムの開発及びライセンス提供するPKSHA Technologyの111倍でした。但し一時の、Gunosyの5241倍、フリークアウトの6451倍、アキュセラインクの2195倍、などを勘案すれば、PER倍率はかなり落ち着いて来ています。

この予想PERは2014年が22.4倍、2015年が19.8倍、2016年が16.4倍と、ずっとバリュエーションが下がって来ていた中で、18.7倍と回復となりました。

これは、従来の審査の厳格化と投資家保護の観点から、IPO全体感としては徐々に魅力が薄れつつある状況から、実態の業績の伸長度が強くなって来ていることでの改善と考えています。